地学実験の記録
2016年度前期(その3:7月8日〜)

2016年7月8日:野外調査実習4(金沢市小二又)

 ひさしぶりの地学実験の担当だ.雨が降ってきそうな天候だったし,気温もかなり高めだったが,予定どおり4回目の野外調査実習に行った.学生たちは3名ともちゃんと参加していた.角間キャンパスを公用車で出発し,10分ほどでいつもの交差点に到着した.ここで金腐川沿いの露頭を遠目に観察する予定だった.


 しかし,露頭は深い植生にすっかり覆い尽くされていた.いつもならば観察することができる地層の傾きの方向すらわからない.

 ここでの観察をあきらめ,遠くにみえる地すべり地形を説明してから次の露頭へ移動した.

 2番目の露頭は細い林道沿いにある.林道の入口までの小径は植生にすっかり被われていた.

 林道に沿って露出する地層を学生たちに観察してもらう.ここに露出するのは大桑層中部の青灰色細粒砂岩.貝化石が露頭面に白く目立っている.

 深い植生をかきわけて道路へ戻った.

 3番目の露頭は金腐川の河床にある.

 河岸の大きな露頭をみながら河床へ降りた.ここも深い植生に包み込まれていた.

 降りてすぐのところで大きなクサガメをみつけた.

 河床には大桑層下部の青灰色砂質泥岩が露出する.

 河床から道路にもどり,小二又の集落に向かって少し歩いたところが4番目の露頭.

 駐車帯に沿って地層が露出する.右手のほうには大桑層下部の砂質泥岩が分布する.

 しかし,左手のほうへ移動すると,そこには高窪層最上部にある上涌波凝灰岩がある.粗粒で軽石をたくさん含む脆弱な凝灰岩だ.

 小二又の集落前で立ち止まり,遠くの山肌にみえる露頭を学生たちに説明した.

 ここまでみてきた地層はすべて南傾斜だった.しかし,ここから正面にみえる露頭では地層はほぼ水平になっている.右手の露頭では逆に北へ傾斜するようになる.

 最後の観察血は小二又のバス停の近く.

 ここでは上涌波凝灰岩が道路に沿って分布する.

 採石場の大きな露頭をながめながらの今日のまとめ.

 雨が降ってきそうな天候になったため午後3時半には学生実験室へ引き返した.

2016年7月15日:野外調査実習5(角間キャンパス)

 最後の野外調査実習は角間キャンパスで実施した.キャンパスのあちこちでみられる地層をひとつずつめぐりながら,これまでの地質調査実習での観察結果とくらべつつ地質図をまとめる作業だ.小雨ぎみの天候だったため公用車を利用しながら移動した.実験室での説明後,午後1時半に早強教育董を出発し,サークルKの近くの沢にまず入った.


 7月も半ばとあって沢の入口は深い植生に被われていた.

 沢に入ってすぐのところに露頭がある.ここには灰白色の極細粒砂岩が露出する.貝化石をまれにみつけることができる.

 つづいて角間キャンパス里山ゾーンのハナンジャコ口へ.

 里山ゾーンへ通じる小径を歩く.

 登り切ったあたりに黄褐色細粒砂岩の露頭がある.

 その近くには斜交葉理が発達する黄褐色粗粒砂岩の露頭もある.

 環境保全センター裏の切り割りへ移動した.環境デザイン学類の地質調査実習でいつもおとずれるところだ.

 ここに分布するのは黄褐色細粒砂岩.

 弱固結の砂岩はハンマーで簡単に掘ることができる.

 環日本海域環境研究センター植物園裏の崖をおとずれた.しかし,あまりにも濃い植生のため露頭への接近はあきらめた.

 最後に角間の里近くに露出する青灰色細粒砂岩をみにいった.貝化石の層が挟在するところだ.しかし,ここも植生に被われていて何もみることができなかった.

 今日の露頭の位置.

 学生実験室に戻り,今日のデータとこれまでのデータを比べながら地形図に記入し,全体をまとめて実験終了.

2016年7月22日:月曜日の振替日

 


2016年7月29日:古生物学実習1(学生実験室)

 今日が今学期の地学実験の最終回.5月の野外調査実習で学生たちが採集してきた貝化石のクリーニングと鑑定の実習を行った.千枚通しとブタ毛の歯ブラシで化石についた砂をきれいにとりのぞく.


 クリーニングが終わった貝化石は化石図鑑を参考にしながらその種類を決めていく.

 鑑定が終わったら貝化石のスケッチをとる.

 すべての作業が午後4時前には修了した.これをもって今学期の地学実験の予定すべてが無事に終了.

  • Camera: Pentax Optio WG-1 GPS, Pentax WG-3 GPS and Ricoh WG-4 GPS
  • Lens: SMC Pentax 5-25mm f.3.5-5.5, SMC Pentax 4.5-18mm f.2.0-4.9