地学実験の記録
2017年度Q3(その2:11月10日〜12月1日)

2017年11月10日:野外調査実習2(金沢市大桑町の犀川河岸)

 2回目の野外調査実習で大桑町を流れる犀川中流での実施だった.実験室での説明ののち,大学の大型バスに乗り換えて現場へ向かった.


 秋のうららかないい日和だった.バスは山側環状道路から小立野の台地へ,それから小径をとおって犀川河岸へ.

 大桑簡易野球場の駐車場でバスを降りて犀川河岸へ移動した.犀川の水はいきおいよく流れていた.

 水位も比較的高い.

 おどろいたことに河岸の植生が一掃されていた.先日の台風によるものだろうか.

 学生たちはすぐに化石採集にとりかかった.河岸に植生がほとんどないので学生たちがどこにいても目がとどく.

 学生たちは思い思いの場所で採集していた.

 植生がないばかりか露頭表面がしっかりと洗われていて白い貝化石がよくみえていた.

 これだけみつけやすいと化石採集も楽だろう.

 二枚貝が散在する細粒砂岩が足下にひろがる.

 巻貝と二枚貝からなる貝化石層もきれいに露出している.

 水流が砂岩を削り込んだあとやツノガイなどもみつかる.

 ここでドローンをあげた.犀川中流の流路が上空からだととてもよくわかる.次回に予定している実習地との位置関係もこれだとつかみやすい.

 学生たちが化石を採集している露頭の位置もよくわかる.

 学生たちは化石の採集をつづけていた.行動範囲がだんだんと広がってきたようだ.

 川沿いにも化石の密集層がきれいに洗い出されていた.大きなホタテガイが顔をだしている.

 川沿いの密集層で採集している学生たちには用心のためTAをつけておく.

 大きなホタテガイが採集された.

 午後3時15分に化石の採集が終了した.

 駐車場で待っていてくれた大学のバスに乗って角間キャンパスへ引き返した.

 野球場のまわりの樹木は紅葉がほぼおわっていた.

 山側環状道路をとおって角間キャンパスへ.

 大学の周回道路をとおって総合教育棟へ.

 キャンパスの紅葉もほぼおわりに近づいていた.

 採集してきた化石を乾燥させるように学生に指示し,その作業がおわったところで今日の実験終了.

2017年11月17日:野外調査実習3(金沢市大桑町の犀川河岸)

  3回目の野外実習も金沢市大桑町を流れる犀川で実施した.午後1時からの実験室での授業の説明ののちに,大学のバスに乗って実習地へ移動した.


 15分ほどで実習地に到着した.

 おんまかいがら橋のたもとで学生たちに現在地の確認をやってもらう.

 その後に橋よりも100mほど上流となる河岸へ移動した.

 前日までの雨天にもかかわらず犀川の水位はほどほどに低かった.

 ここに分布するのは中新統犀川層だ.地層についてごく手短に説明し,それから学生たちに自由観察時間をあたえた.

 離水した河床のあちこちで学生たちが観察を開始した.安全確認はTAのふたりにまかせた.

 水流できれいに磨き上げられた河床は地層の観察にうってつけだった.発泡のいい白色軽石が散在している.

 合弁の二枚貝化石もすぐにみつかる.

 炭化した植物の化石も露頭のあちこちにある.

 ふたりの女子学生がおおきなホタテガイの化石を掘り出していた.これだけきれいなものがみつかるのは珍しい.

 犀川層の観察を終えて下流へと全員で移動した.

 ここには更新統大桑層の下部が分布する.細粒の泥質砂岩を特徴とする.ここでも学生たちに自由観察時間をあたえた.

 犀川層と同様に露頭条件がとてもいい.地層の観察にはうってつけの状況だった.

 学生たちの観察がおわってから,中新統犀川層と更新統大桑層との不整合を探すという課題を学生たちにあたえた.学生たちはゆっくりと上流へ向かって歩いて行った.

 上空からみると学生たちが不整合のあたりに集まっているのがよくわかった.

 上空からみる犀川層と大桑層,そして両者の不整合.

 紅葉がおわった医王山や戸室山,直下の簡易野球場もよくみえていた.

 学生たちは不整合のあたりに集まってきたものの,どこが不整合面なのかは判断しかねているようすだった.

 いくつかの層準に学生たちは集まっていた.

 不整合の意味をあらためて説明し,岩相がかわるところを示して解答とする.

 地層の硬さのちがいが川の段差になっていることもここで説明する.

 さらに下流へ移動した.かいがら橋のほぼ直下になる.ここに露出する凝灰岩層にコンボリュート層理をみつけた.

 火山灰層や生痕化石についてここで説明しておく.

 その後は時間いっぱいまで自由観察時間にした.大桑層のこの層準はサメの歯の化石がときおりみつかるところだ.

 学生たちはずっと化石を探していたが,残念ながらひとりも見つけることはできなかった.

 現場を離れて大学のバスが待つ駐車場へと歩く.

 バスに乗り込んで角間キャンパスに引き返した.

 山側環状道路をとおり田上から学内道路へ.

 角間キャンパス北地区の総合教育棟に到着.
 地学学生実験室でのまとめののちに実験終了.
 

2017年11月24日:野外調査実習4(金沢市小二又の金腐川流域)

  雪がはげしく降ってきたり晴れ間がのぞいたりと朝から荒れ気味の天候だった.野外に出るべきかどうかの判断に迷ったが,天候の回復を期待して予定どおり4回目の野外実習に出ることにした.学生たちが集合したのを見計らって午後1時からまず学生実験室で実習内容を説明した.それから大学のバスに乗り込んで小二又の実習地へ出かけた.


 角間キャンパスから南砺市方面へバスを走らせてもらう.冷たい雨はまだ降りつづいていた.

 金腐川沿いにある最初の露頭に到着したが雨がやむ気配はなかった.この露頭は当初から川岸からの観察のみにする予定だったので,バスの中から地層やその傾斜方向について解説するにとどめた.,

 バスを200mほど動かしてもらいふたつめの露頭に到着した.雪交じりの雨が降ってはいたが,ここでバスを降りて露頭を観察してもらうことにした.

 学生たちが傘をさしてやってくる.せまい林道沿いに露出する地層をてばやく観察してもらう.

 貝化石を含む青灰色の細粒砂岩がここに露出することを確認してもらい,それからすぐにバスへ引き返した.

 3番目の露頭は道路が金腐川をわたってすぐのところにある.さいわいにも雨がやんでくれたのでバスから降りて予定どおりの実習を行った.

 この露頭には生痕化石が発達する泥質砂岩が露出する.

 しかし,露頭の右手のほうへ歩くと大きな白色軽石を含む粗粒凝灰岩がその直下に現れる.

 学生たちにこの両者をゆっくりと観察してもらい,これまでの3回の野外実習でみてきたどの地層と似ているかを考えてもらう.

 小降りの雨の中を最後の露頭へ歩いた.最後の露頭は小二又の集落を抜けたところにある.

 その途中で足を止め遠くにみえる露頭を示しながら,金腐川の上流部では南傾斜だった地層が,このあたりでほぼ水平になり,下流部では北傾斜になることを説明した.

 小二又の集落を歩く.

 バス停のあたりで大学バスが待っていてくれるのをみつけた.ここで最後の観察を行う予定だったが,雨がまたはげしくなってきたためあきらめてバスに乗り込んだ.

 雪交じりの雨の降る中をバスは角間キャンパスへ引き返した.

 ほんの10分足らずで角間キャンパスに到着した.

 実験室に戻ってからだをあたためたのち,これまでの野外調査実習の結果を地図にまとめてもらって今回の地学実験を終えた.

今日のおさらい



2017年12月1日:古生物学実習(金沢大学総合教育2号館地学学生実験生津)

  今学期最後の地学実験は,金沢市大桑町の犀川河岸で採集した貝化石のクリーニングと鑑定の実習だった.貝化石からすっかり乾燥した砂を歯ブラシと千枚通しでまずとりのぞく.


 きれいになった貝化石.図鑑と照らし合わせながら名前を決めていく.

 スケッチをとったうえで簡単な記載も記入する.

 これで今学期の地学実験の予定全てが無事終了した.

  • Camera: Ricoh WG-4 GPS, Pentax Optio WG-1 GPS and DJI Phantom 4 Pro
  • Lens: SMC Pentax Zoom 4.5-18.0mm f.2.0-4.9 and SMC Pentax Zoom 5.0-50mm f.3.5-5.5