地学実験の記録
2019年度前期後半(その1:6月14日〜6月28日)

2019年6月14日:ガイダンス(地学学生実験室)

 今学期の履修登録者は17名.学生実験室でこの授業の概要を説明し,それから調査用具などを配付した.ひきつづいて総合教育2号館の前で歩測の実習を行った.そのまま角間キャンパス北地区の散策に出る予定だったが雨が降ってきそうな天候だったため中止した.


2019年6月21日:野外調査実習1(金沢大学角間キャンパス)

 第一回目の地学実験での野外実習は角間キャンパスでの露頭巡りにした.泥岩や砂岩,化石といった地学の基礎として必要なものをキャンパスの中でみることができる. 学生実験室での説明ののちに学生たちとともに野外へでた.若松方面へとつづく県道に沿ってポンプ室まで歩く.


 ポンプ室前でいったん集合ののち学生たちとともに沢にはいった.

 この沢に沿って更新統大桑層の極細粒砂岩が露出する.

 共通教育学務係の中西さんも飛び入りで参加してくれた.

 沢の中に入ったところで学生たちに約20分間の自由観察時間をあたえた.みたものやさわったもの,気づいたことなどすべてをノートに記載するよう指示した.

 学生たちは露頭の思い思いのところで観察をはじめた.

 この露頭では貝の印象化石がたまにみつかる.生痕化石は露頭のどこででもみつけることができる.

 観察を終えた学生たちにこの露頭や発見されるものについて解説し,それから県道へ引き返した.

 深緑となった沢はすっかり初夏の風情だった.

 県道を角間キャンパスへひきかえす.途中にあるコンビニエンスストアでひと休みしたのちに里山ゾーンへ移動した.

 里山ゾーンはクマ出没のため通行止めになっていた.そのため,里山ゾーンに少しばかり入ったところで地層の観察を行ってもらった.

 このあたりに露出するのは更新統卯辰山層の黄褐色細粒砂岩.大桑層の砂岩よりもあきらかに脆弱なものだ.

 学生たちにはここでも約20分間の観察時間を与えた.

 砂岩の中には生痕化石の断面がきれいにみえる.

 立入禁止になっているせいか里山ゾーンの田んぼはやや荒れているようにみえた.

 ここでドローンをあげて学生たちの観察地点を撮影した.

 里山ゾーンの中での観察地点がよくわかる.

 今日の3つの観察地点の位置関係.

 学生たちの観察後にこの地層について説明し,それから角間の里へ移動した.

 角間の里の前には貝化石層が挟在する大桑層の青褐色砂岩が分布するが,今日は深い植生のためまったくみることができなかった.観察をあきらめて総合教育棟へ引き返した.

 地学学生実験室で今日のおさらいをやって実習終了.

2019年6月28日:野外調査実習2(金沢大学角間キャンパス)

 角間キャンパス北地区で簡易測量実習を行う予定だったが, 雨がときおり降ってくるあいにくの天候だったため,北地区での地盤と建物の変状の観察実習に変更した.地学学生実験室で地盤のことや角間キャンパスの地下構造,地盤の変状やそれにともなう建物の変形などについて説明し,それから学生たちをともなってキャンパスを歩いた.地下通路や連絡橋,総合教育棟前の広場などをひとめぐりしながら実際に観察される変形構造をまずみてもらった.


 そのうえで,学生たちに約1時間の自由観察時間をあたえ,それぞれに地盤や建物の変形を発見し,その記載と原因考察の課題をあたえた.何人かの学生たちは連絡橋の変形を観察していた.

 総合教育棟前広場にも何人かの学生たちの姿があった.

 このあたりは地盤の不同沈下のため敷き詰められたタイルが不規則に変形している.

 ベンチもやや傾いている.

 学生会館の入り口あたりには大きな段差があった.タイルが貼り替えられているためこんな変形構造はみつけやすい.

 学生会館の上からみおろすと学生たちの活動のようすがよくわかった.

 中央図書館の入り口あたりにも学生たちの姿があった.

 ここでも大きな段差ができていた.段差にそってのタイルが割れている.

 総合教育棟へ引き返し地下道に入った.

 地下道の壁にはきれいな破断面が形成されている.

 地下道の天井をとおる電線は沈下を想定してたわんでいる.

 地下道の反対側の壁面にも対応するような破断面がある.

 学生実験室に戻ってきた学生たちに,北地区での地盤と建物の変形についてのおさらいをやってもらって今日の実習を終えた.

  • Camera: Pentax WG-1 GPS, Ricoh Caplio 500G wide and DJI Spark
  • Lens: SMC Pentax 4.5-18mm f.2.0-4.9 and Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3