地学実験の記録
2019年度前期後半(その2:7月5日〜7月11日)

2019年7月5日:野外調査実習3(金沢市大桑町)

 今日の地学実験は大学のバスを利用して金沢市大桑町へ出かけての野外調査実習だった.午後1時からの学生実験室での実習内容や注意点の説明ののち,学生たちとバスに乗り込んで大桑町を流れる犀川に向かった.15分ほどで大桑簡易野球場の駐車場に到着.現地での説明ののちに犀川の河原へ移動した.初夏とあって植生が深かった.


 犀川の水量は平均よりやや多い程度だった.これならば化石採集実習への支障はない.

 化石採集の方法を露頭で実際に説明し,それから実習にとりかかってもらった.学生たちは上流側と下流側とにわかれて作業を開始した.それぞれの場所にTAをひとりつけておく.

 ここ数日の雨のせいか露頭はきれいに洗われていた.学生たちは地層の記載にまずとりかかる.

 それから思い思いの場所で化石採集を開始した.

 水量がやや多い犀川.

 河岸が崩落した場所に降りてみた.

 ツノガイや二枚貝の化石が崩落したあたりに露出していた.

 上流側で採集する学生たち.このあたりの大桑層からはハマグリなどの貝化石がでる.巨大シャケの化石がでたのもこのあたり.

 下流側には貝化石層が何枚か挟在する.

 露頭の面にはさまざまな生痕化石も観察される.

 ドローンをあげて採集地を空から撮影した.

 犀川中流部での採集地の位置がよくわかる.

 学生たちが採集を行っているのはこのあたり.増水時には水におおわれるところだ.

 採集地を下流側からみてみる.

 さらにとおくからみると上流側にある「おんま貝殻橋」もみえてくる.

 採集地の地形を真上からみてみる.

 午後3時半に実習終了.駐車場で寝ずに舞っていてくれた大学バスへひきかえす.

 バスで角間キャンパスの総合教育2号館へもどった.

 採集した貝化石を実験室に広げて今日の実習が終了した.

2019年7月12日:野外調査実習4(金沢市大桑町)

 ここしばらく雨が降りつづいていたため犀川の水位が気になっていた.早朝のうちに実習予定地のおんま貝殻橋に行ったところ,川の水位はとても低くて実習には絶好のコンディションだった.河床の露頭がおおきく離水していた.


 下流側でも河岸がおおきく離水していた.

 学生実験室での実習内容の説明後に大学のバスで大桑町の実習地へ移動した.

 山側環状道路から小立野の台地へ移動する.

 15分ほどで大桑貝殻橋の実習地に到着.イノシシの出没注意の看板があった.

 実習地は今朝のままの水位の低さだった.対岸には釣り人の姿があった.

 学生たちを案内して上流へ歩いた.このあたりには中新統犀川層が分布する.

 ごく簡単な説明ののちに20分間の自由観察時間とした.凝灰質砂岩からなる犀川層には暖海性の貝化石が散在する.

 ホタテガイの保存のよい化石を学生のひとりがみつけていた.ノジュールをたたいている学生もいた.

 直径5センチほどの白色軽石や炭化植物の破片も露頭ではふつうに観察される.自由観察時間後に学生たちをあつめ,犀川層の地質時代や抗生物質について説明し,化石などから推定される古環境について解説した.

 犀川の下流となる2番目の実習地に移動した.このあたりには下部更新統大桑層の下部層が分布する.ここでも学生たちに約15分間の自由観察時間をあたえた.

 このあたりの大桑層は泥質の極細粒砂岩から構成される.

 植物化石がふつうにみられるが貝化石はほとんど産出しない.

 比較的厚くて堅硬な細粒火山灰層が2枚挟在する.

 自由観察時間ののちに,大桑層下部の岩相と地質年代について解説し,そのうえで学生たちに不整合探しを試みてもらった.

 学生たちは地層をたたきながら上流へと移動していった.彼らが不整合のおおよその位置をみつけたところで不整合の正確な位置と不整合がもつ意味について解説した.

 ここで同行してくれたGS科目地学担当の田中源吾君にバトンタッチした.地学実験初の試みとなる砂金の採集実習だ.

 砂金の採集方法についての説明ののち,実際に川底の砂をすくってのデモンストレーション.

 その後に学生たちは何人かのグループに分かれて砂金の採集を開始した.川岸に生えたコケなどに付着した砂金の採集を試みる.

 川底の砂をすくって採集するグループもある.

 ドローンをあげて河床地形を撮影した.砂金をとる学生たちの姿も画面にみえる.

 上流側と下流側とからみたおんま貝殻橋付近の犀川.

 上流側では岩相のちがいにもとづく不整合の位置がよくわかる.

 下流側では大桑層の下部から中部にかけての岩相の漸移的変化が確認できる.

 砂金の採集をつづける学生たち.思った以上に楽しそうだった.

 パンニング皿に川底の砂をいれてふるう.

 うまくいくとその中に砂金がみつかる.

 その砂金をスポイトで吸い取る.

 採集された砂金.

 午後3時40分に実習地をはなれて角間キャンパスに戻った.学生実験室でのおさらいののちに実験終了.

 

  • Camera: Ricoh Caplio 500G wide, Ricoh Caplio 400G, Pentax W30, DJI Mavic Pro Platimum and DJI Mavic Pro
  • Lens: Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3, Ricoh Zoom Lens 4.2-12.7mm f.2.6-4.3 and SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.3.3-4