地学実験の記録
2020年度前期後半(その1:6月19日〜7月3日)

2020年6月19日:ガイダンス,野外調査実習1(金沢大学角間キャンパス)

 新型肺炎問題のため例年どおりの実施があやぶまれてはいたが,国内や石川県での状況がよくなりつつあることや,実験室に十分な広さがあって換気設備もとどのっていることから,通常どおりに学生実験室での授業を実施することができた.午前中のうちに実験台をアルコールで消毒し,学生たちが離れて着席せざるをえないように椅子の数を減らしておいた.


 履修予定者は19名だった.人数分の実習用具や地図などをそろえておいた.

 例年よりも15分の遅れとなる午後1時15分に授業を開始.集まった学生たちにこの授業の目的や履修上の注意などを実験室でまず伝え,それから大学のバスを利用しての角間キャンパス地層めぐりの実習にでかけた.総合教育1号館前でバスに乗車して出発.

 あいにくの小雨模様だった.角間キャンパスの中にあるコンビニエンスストアの前でバスを降り,それからポンプ室まで歩道を歩く.ありがたいことに雨はすっかりあがってくれた.

 ポンプ室の裏にある沢の中には大桑層が露出している.沢にはいる前に学生たちに地層の見つけ方やノートの取り方などについて説明しておく.

 沢の中はややぬかるんではいたが歩くことに支障はなかった.沢に入ってきた学生たちは深い森の中とあっておおさわぎしていたが楽しそうだった.キャンパスの中にこんな自然があることにもおどろいていた.

 沢の入り口から50mほどのところに大桑層が露出する.地層がみえるところを露頭と呼ぶことなどを学生たちに説明する.

 この露頭から砂岩のかけらを取り出して学生たちにみてもらった.やわらかそうにみえてもそこそこ固いことを実感してもらう.

 ポンプ室まで引き返し,それからコンビニエンスストアの前で待っていてくれたバスに乗車した.

 自然科学研究科裏手の露頭にバスで移動した.1年生たちにとってはこれがはじめてのキャンパスなので,移動の途中で角間キャンパスの建物や施設についても解説した.

 環境保全センターにすぐに到着.ここでバスを降りて田上へ通じる林道にはいった.

 かつては卯辰山層が一面に露出していたこの切り割りは昨年暮れの防壁工事のため植生にすっかりおおわれていた.

 林道を奥まで歩いて田上地区がみえてきたところに露頭があった.ここに露出するのは卯辰山層の細粒砂岩.弱固結の砂岩なので手でぽろぽろとこわすことができる.この砂岩を採集して大桑層との硬さの違いを学生たちにみてもらう.

 バスに引き返して次の観察地へ移動した.

 最後の観察地は角間地区でもっとも高い位置にあるD駐車場.学生たちが天空駐車場と呼んでいるところだ.ここでバスを降り,角間キャンパスを一望しながら建物の配置や造成の工夫,その下にある地層について解説した.

 バスに乗って総合教育棟へ引き返した.戻る途中で角間キャンパス北地区の建物などについて解説した.

 総合教育2号館の学生実験室に集合した学生たちに,今日のおさらいと次週の予定や注意点などを伝えて今日の実習が終了した.

 初回の地学実験で観察に訪れた場所の空からの画像.ポンプ室裏手の澤(上),環境保全センター裏手の林道(中),D駐車場(下).




2020年6月26日:地形図学実習1(総合教育2号館地学学生実験室)

 野田山での地質調査実習の予定だったが朝からはげしい雨が降りつづいていた.いつまでたってもやむ気配がみられないため室内実習に変更することにした.地形図学実習用の練習問題や色鉛筆などを用意しておいた.


 今年度の特例ということで午後1地15分に授業開始.地形とは何か,地形図とは何か,等高線とは,といったことをホワイトボードと実際の地形図で説明し,等高線についてはキットカットを切断して立体的に理解してもらった.それから地形図学の練習問題にとりかかってもらう.学生たちは思った以上に頭をひねっているようすだった.

 とりあえずは基本編の2枚の練習問題を全員が仕上げたところで実習終了.

 

2020年7月3日:野外調査実習2(金沢市大桑町の犀川河床)

 犀川中流にかかる大桑貝殻橋付近での化石採集実習を予定していた.ここしばらくの雨の影響が気がかりだったため早朝のうちに実習地を見にいった.水量はそこそこあるものの,実習への影響がなさそうだった.


 午後1字15分に学生たちが実験室に集合した.今日の実習内容と注意点などを説明し,それから大学のバスで実習地へ移動した.雨の影響が気になったが実習の終了まではもってくれそうな天候だった.

 大桑町にある簡易野球場の駐車場でバスを降り,学生たちに現在地の位置を確認してもらったうえで犀川の河床にある化石の採集地へ移動した.

 犀川の水位は平常時よりは高かったが実習への問題はない.

 ここに分布するのは下部更新統大桑層.化石の採集方法や気をつける点について現地であらためて説明し,それから化石採集実習にとりかかってもらった.

 学生たちは上流側と下流側とに分かれて採集を開始した.TAが学生たちの安全管理には留意してくれた.

 一時期の増水のおかげか露頭面に貝化石が露出していた.殻の硬いホタテガイは露頭からそのまま引き抜くことができた.

 化石採集にとりくむ学生たち.

 おおきな二枚貝の化石がみつかる.

 上流側ではおおきなホタテガイの化石もみつかった.

 下流側でも化石がみつかっていた.今学期の学生たちの収穫は例年よりも多い気がした.

 掘りあげられたおおきなホタテガイ.これほどおおきなものは最近では珍しい.

 実習後のまとめのために,ドローンをあげて上流側と下流側とからみた実習地を撮影しておく.

 ほぼ真上からみた化石採集地.上からみると周辺地形や地層の走向などがよくわかる.

 午後3時45分に実習終了.大学のバスが待つ駐車場に引き返した.

 大学のバスに乗って角間キャンパスへ.

 学生実験室で貝化石の乾燥させる準備が終わったところで実習終了.

  • Camera: Pentax WPi, WG-3, Ricoh WG-4GPS and DJI Spark
  • Lens: SMC Pentax 6.3-18.9mm f.3.3-4.0 and SMC Pentax 4.5-18mm f.2.0-4.9