地学実験の記録
2021年度第3クォーター(その3:11月12日〜)

2021年11月12日:地質調査実習4(石川県金沢市大桑町)

 ときおりの豪雨が降りしきる天候だった.野外実習へ行くべきかどうか迷いはしたが,現地で晴れ間がでることを期待することにした.学生実験室での入念な説明ののちに大学の大型バスで大桑町の犀川へ向かった.


 空はどんよりとした雲におおわれていたが雨はさいわいにも小降りになった.

 田上から山側環状道路をとおって涌波の台地へ.そして大桑町の犀川へ.

 大桑貝殻橋のたもとでバスを降りて橋のうえに学生たちと移動した.犀川の水位は下見にきた昨日と同じくらいに低かった.

 風が強くてドローンをあげることができないので橋の上から上流側の写真を撮っておいた.

 同じく下流側の写真も撮っておく.

 学生たちには橋のうえからの露頭の観察を指示した.

 上流側にみえる地層のようすや,浸食のようすにはとくに注意をはらってもらう.

 天気がよくなってきたので学生たちと河床へ移動した.

 ふたつの岩相の境目となるあたりを学生たちと歩いた.

 河床に段差があるところはとくに入念にみてもらい,この段差をはさんで地層がおおきく異なることを理解してもらう.

 次の雨雲がやってきそうだったのでここで実習を切り上げバスへ引き返した.

 全員がバスに乗ったところでまた雨が降りはじめた.

 山側環状道路をとおって田上の町並みを通過し角間キャンパスへ.

 学生実験室で今日のおさらいとまとめをやって実験終了.

2021年11月19日:地質調査実習5(石川県金沢市小二又)

 先週の荒天とはうってかわっての秋晴れのいい天気だった.予定どおりに小二又での野外実習に大学のバスででかけた.学生実験室での説明ののちに学生たちとバスに乗って小二又へ.角間キャンパスのメタセコイアがオレンジ色になっていた.


 県道金沢井波線を南砺市の方向へバスは走る.

 とおくに戸室山がよくみえる.県道清水小坂線に入ってすぐの三叉路でバスを降りた.

 ここを流れる金腐川の河岸にはかつていい露頭があった.しかし,長年の植生の繁茂のため露頭はすっかりおおいつくされていた.

 この露頭でかつてみることができた岩相を学生たちに説明し,河岸の植生の方向性から地層の傾斜方向を確認してもらった.

 金腐川の下流方向へ県道沿いに学生たちと歩いた.途中にある典型的な地すべり地形について説明しておく.

 県道に沿ってずいぶんかかしが増えた.いろんなものがあるがどれも気味がいいものではない.

 このあたりにもかつてはいい露頭があったが植生におおいつくされていた.イノシシのわなが樹木の中にある.

 県道をさらに歩いて金腐川にかかる小さな橋をわたった.

 右岸側にある待避帯に沿って地層が露出している.ここで20分間の自由観察時間とした.

 学生たちはさすがになれてきたようだ.とおくからの観察ののちに露頭を叩きはじめた.

 この露頭の左側には軽石質の凝灰岩が露出し,その上位には砂質の泥岩がある.地層が南傾斜のため露頭の右側へ行くと砂質泥岩のみが観察される.

 おさらい画像を撮影するためここでドローンをあげた.

 これまで歩いてきた金腐川沿いのルート.

 これから歩く予定の下流側のルート.

 ドローンを回収して次の露頭へ.学生たちが植生をはがしたあとがあった.

 県道を下流方向に歩く.小二又の集落に入る前に,このあたりで地層が北へ傾斜することを対岸の崖の露頭をみせながら説明しておく.

 小二又の集落に入った.

 干したダイコンや紅葉したイチョウはいかにも晩秋らしい風情だ.

 小二又にあるJRバス停あたりの露頭へ.

 ここには軽石凝灰岩が露出する.直径が2センチほどもある白色軽石が多量に含まれている.固結度は低い.

 ここでも学生たちに10分間ほどの自由観察時間を与え,その後に凝灰岩について,また大規模火砕流噴火について解説しておいた.

 この露頭の背後にある畑の中を歩いた.

 とおくにみえるカガライトの採石場の露頭をみせながら,これまでにみてきた岩相をこの大露頭でたどってもらった.

 バス停で待っていてくれた大学のバスへ.

 小二又から角間キャンパスへ.

 10分もしないうちに角間キャンパスにはいった.

 メタセコイア並木の総合教育棟へ.その後,学生実験室でこれまでに観察したすべての露頭の位置関係と岩相を地形図にまとめてもらって今日の実験終了.

 終了後にまとめの画像を作って学生たちに送っておいた.

 

2021年11月26日:古生物学実習(地学学生実験室)

 最終回となる今回の地学実験では,学生たちが野外実習で採集してきた貝化石の整形と鑑定の実習を行った.実験室の実物投影機とモニターをつかって整形の方法をまず説明し,それからそれぞれ実習にとりかかってもらった.


 ひと月ほど前に採集し実験室で乾燥させた貝化石.表面に厚く付着した砂を千枚通しでまずかきとる.

 それから豚毛の歯ブラシと爪楊枝をつかって砂を丁寧にかきおとす.

 これほど長いツノガイはめずらしい.ツメタガイか何かに食べられた穴のある二枚貝もあった.

 今学期の学生たちは巻貝化石をたくさん採集していた.おおきな二枚貝の化石もあった.

 ルーペをつかって観察しながらスケッチをとり,学生用化石図鑑で種類を鑑定する.標本ケースにきれいにおいて実習終了.

 これが地学学生実験室での最後の授業となる.1994年からずっとつづけてきた授業だけに,これが最後と思うと感慨深いものがあった.

  • Camera: Ricoh WG-4 Silver, Ricoh WG-5 Gnnmetaric, Ricoh WG-5 Orange, Pentax Optio WG-2 Vermian Red and DJI Mavic Mini
  • Lens: Ricoh Lens 4.5-18mm f.2.0-4.9 and SMC Pentax 5.0-25mm f.3.5-5.5