カンボジアのトンレサップ湖における過去1万5千年間の環境変遷

(現時点までの解析結果にもとづく推定)


約5千年前

 当時の海面は現在より1mほど高い水準で一時停滞していたと考えられる.海岸線はカンボジアとヴェトナムとの現在の国境よりもかなり内陸側にまで浸入した.このため増水期に水位の上昇したメコン河の水が海水に押し戻されて河道からあふれ出し,かつて小規模な湖沼群が散在していた低地に流れ込んで巨大な湖を形成した.しかし,減水期になると増水した水は水位の低下したメコン河へと流出するようになった.伸縮する水域「トンレサップ湖」の誕生である.当時のカンボジアは新石器時代であった.