トンレサップ湖調査TS21−1
2000年11月18日〜12月5日
(その2:11月21日)
11月21日(火):プノンペン
午前7時に起床してすぐにホテルのカフェで朝食を済ませる.今日は地質調査所への挨拶もあるし,日本からの本隊やニュージーランドのダラス・マイルデンホール博士がプノンペンに到着予定だ.午前中に到着予定のダラスへの手紙をフロントに残してホテルを出た.
午前8時半にまずカンボジア地質調査所を訪れた.ソタムとともに所長のソヴ・シブクン氏に面会し,調査日程や調査方法,調査予定区域などを説明し,トンレサップ湖のコア1本を調査所内に保管したいという彼の希望を受けておく.それから文化省へ行って午後の面会約束をとりつけ,続いて訪れたプノンペン芸術大学で地質学担当のクム・ソリス氏に頼まれていた講義用スライドを渡したところ,学生への講義をまた頼まれた.
この大学で教えたのも96年が最後になる.今年5月ならばと了解したところ,これから講義が始まるらしい教室にいきなり案内された.学生たちがいっせいに起立する.どうやらソリス氏が紹介しているようだ.学生たちが真剣なまなざしを投げてくる.以前とは比べものにならないくらい裕福になったとはいえ,カンボジアの学生たちの真摯さはあいかわらずのようだ.学生たちに簡単な挨拶を済ませて教室をあとにした.
昼食には少々時間があったので王宮前のトンレサップ川を見に行った.8月には堤防からあふれそうだった水面も今はかなり下がっている.水位差は3メートルはあるだろう.
このあたりの川岸には各国の国旗とヤシの木が立ち並ぶ.北東風がやけに強いのが気にかかる.8月の調査で風と波に悩まされたことを思い出した.
湖方向へ足を進める.川水はメコン河方向へゆっくりと流れている.渡し船がずいぶん下流側へ流されている.
そしていつものカフェで一休みしてホテルへ戻った.
ホテルに戻り上智大学の石澤良昭教授への状況報告の手紙をまずしたためる.それを持って階下に降りたところ,ロビーにはタイから到着したばかりのダラスが待っていた.3年ぶりの再会だ.少々太ったようだがあいかわらず元気なようす.ふたりでホテル近くの北京飯店で昼食をとった.上智大学の笹川秀夫君もやってきた.彼もプノンペンに着いたばかりだという.くつろいだ昼食を済ませ,中央市場にちょっと立ち寄ってホテルに戻った.
午後2時すぎにタクシーでホテルをでてまず文化省へイン・ソッカ氏を訪ねた.あいにく外出中だった彼だが20分ほどで省へ戻ってきてくれた.彼とも数年ぶりの再会になる.そこにアプサラのスン・クン氏や上智大学の丸井雅子さんもやってきた.明日から始まる遺跡関係式典の打ち合わせだという.短い時間だったがなつかしいひとときをすごして席を辞し,それからプノンペン芸術大学へ向かった.タクシーのすぐ前には労働者を満載した小型トラックが走っていた.トラックが曲がるたびに何人かが荷台に必死でしがみつく.よく落ちないものだと感心する.
プノンペン芸術大学には午後4時ちょっと前に到着した.ソリス氏が講義を終えるまで事務室でお茶をいただきながら待つことにする.建物は以前とかわりないが,かつては赤土がむき出しだった庭には芝が植えられていた.するとそこに午前中に教室でみかけた学生たちがやってきた.声をかけると笑顔で応えてくれる.ふたりともなかなか英語がうまい.そのうちに戻ってきたソリス氏と依頼された講義内容や講義の時期などについての打ち合わせを済ませてホテルに戻った.
ホテルに戻って大型ワゴン車に乗り換え,日本からの本隊を出迎えにポチェトン空港へ向かった.午後5時20分に空港に到着.しかし,到着時刻を30分すぎても誰も現れない.荷物の受領に手間取っているのだろうか.観光客の到着を待っていた地元ガイドのひとりが空港係官に到着便のようすをたずねている.50分近くが過ぎ去ったところで出口に神谷さんが現れた.やはりなかなか荷物を受け取ることができないらしい.2台のカートを押しながら出口に入っていく彼の後ろ姿を見送る.そしてさらに10分ほどたってから日本からの4人全員がカートを押しながら現れた.晩秋の日本からの到着だけあって,プノンペンのこの暑さにはみな閉口しているようだ.調査機材もすべて無事に到着していた.
午後7時前にはホテルに戻ることができた.午後7時半に笹川君も交えアジアホテルのレストランでにぎやかな夕食をとる.加藤さんや神谷さんとダラスとは5年ぶりの再会だ.なつかしさに話が弾んでいる.カンボジアの変わりようも話題になっている.食後はホテルに戻るダラスを見送って日本人メンバーで街を散策した.「街がずいぶん明るくなった」との感想がもれている.モニバン通りの屋台でビールをのみ,それから神谷さんとふたりでのみなおし,ホテルに戻ったときには午前0時を回っていた.
Camera: Pentax MZ-3 and Fuji Caldia Mini Tiara Lense: SMC Pentax-FA Zoom 28-80mm f.3.5-5.6 and Super EBC Fujinon 28mm f.3.5 Film: Fujicolour Reala Ace and Superia 800- Scanner: Epson FS-1200WINS