トンレサップ湖調査TS21−1

2000年11月18日〜12月5日

(その5:11月23日)


11月23日(木)午後:シェムリアプ

 午前7時すぎに起床してすぐにホテルのカフェへ降りる.そこではもう全員がそろっての食事中だった.フランスパンにオムレツ,そして熱いコーヒーがうまい.たまたま同じホテルに泊まりあわせていたPITトラベルの谷川さんとちょっと言葉を交わす.

 この日の予定は州知事訪問とトンレサップ湖の下見,そして調査機材の準備だった.午前8時にホテルを出発しまず調査所のシェムリアプ支所を訪れる.そして支所長さんもいっしょに調査隊全員でシェムリアプ州知事を訪問した.

 

 

 州知事は英語が堪能だったのでソタムの通訳も不要だった.いかにも政治家らしい活発だ.今回の調査目的や期間などを説明し全面的な援助の快諾をえて20分ほどで州庁を辞した.

 

 いったんホテルへ戻ってカメラなどを手早く準備し,それからトンレサップ湖へでかけた.湖へと向かう道路の左右はすっかり水浸しになっている.観光船乗り場がプノン・クロムよりも市内側へと移動してきている.こんなところにまで船着き場が移動してきているのは10年目にしても初めてだ.午前10時50分にプノン・クロムのふもとに到着しまずは山頂から湖を眺めることにした.

 

 

 あいかわらず水が多い.9月と比べて大きな変化はないように見える.

 

 

 プノン・クロム山頂にあるクメール遺跡.訪れる観光客はほとんどいない.

 

 

 プノン・クロムよりも内陸側にまで水が浸入している.

 

 

 下山したときには正午を回っていたが,予定どおり観光船にのって湖へ出ることにした.

 

 

 右手にプノン・クロムを見ながら湖へと向かう.こんな位置からこの山を見るのは初めてだ.

 

 

 水上集落のあたりを通過する.網の手入れをしている家庭をあちこちで見かける.

 

 

 30分ほど走ったところで浸水林が繁る湖の縁に到達した.9月に比べたら水は1メートルくらい退いたように感じる.湖水はあいかわらず澄んでいる.

 

 

 懸念していた風も吹いていないし波もない.湖面がおだやかなせいか漁にでている船も多かった.

 

 

 船着き場へ帰る途中であの水上カフェ兼観光養魚場に立ち寄った.

 

 

 神谷さんと小沢君とはここで最初のサンプリングをはじめる.

 

 

 カンボジアの空気にすっかりなじんだ尾田さん.カフェには新しい仔ザルもいた.

 

 

 サンプリングにいそしむ神谷さんを,カフェの子供たちやペリカンがおもしろそうに見ている.子供たちに9月に調査のときに撮った写真をあげたらとても喜んでくれた.ふたりとも写真がよほど嬉しかったのだろう.初対面となる神谷さんにまでその写真を見せていた.

 

 

 9月に比べて水位はやはり下がったようだ.この水見台の床が水面上に出ていた.測深器をもってこなかったが湖心部の水深は7メートル半くらいだろう.すべての状況が調査に支障がないことに安心して船着き場へ戻った.午後1時半になっていた.

 

 

 午後2時にシェムリアプ市内のモノロムレストランで遅い昼食をとる.麻婆豆腐と焼きめしのうまいところだ.ホテルに戻る途中で市場に立ち寄り,採泥用のロープや洗面器など買うついでにアヘンたちの土産店を日本人メンバーに紹介しておく.そしてソタムにGPS1台をあずけ,機材の準備を他のメンバーに頼んでからアプサラやPITトラベル,UNVを訪問し今回の調査日程などを伝えて回った.午後5時にホテルへ帰ってみたらすべての準備がほぼ終わったところだった.

 

 

 今回の主力機材となるフレーガー式柱状採泥器.このときになってコアキャッチャーを日本に忘れてきたことに気づいた.しかたないのであとで作ることにした.

 

 午後5時半からホテルのカフェで最初のミーティング.トンレサップの地形図やメンバー表などを配り,明日の調査予定や各自の担当部署,そして時間割などを1時間ほどかけて全員で決めておく.ダラスと尾田さん,ナリン,そしてサンバースに柱状採泥用の船に乗ってもらい,表層採泥用の船には神谷さんとソタムとをリーダーに,加藤さん,小沢君,そしてシムが乗ることになった.カンボジアの4名は双方の船にかわるがわる乗るという.ミーティングが終わって部屋に戻ろうとしたときに,上智大学の石澤良昭教授や丸井雅子さん,そして谷川さんにばったり会った.石澤先生と丸井さんとは先ほど到着したところだときく.調査予定などをおおまかに説明しておく.

 午後7時から食事もうまいし店の感じもいいアルンレストランで夕食をとる.今回の調査のドライバーとなるふたりがレストランまで送ってくれた.小柄で太ったホンと長身でやせたプラークのふたり.典型的な凸凹コンビだ.ホテルの玄関にはあの垂れ幕がまだ下がっていた.

 

 

 アルンレストランからホテルまではぶらぶら歩いて戻った.そしてホテルのカフェに地形図や電卓やらを持ち出して,コーヒーを飲みながら明日の調査予定測線や採泥予定地点の位置を確認しておいた.川をわたってくる涼風が心地よい.

 

 部屋に戻って手早くタイガービールを一本空け,その空き缶で採泥器のキャッチャーを3つ作っておいた.それから水質測定機器類の校正ついでにホテルの水道水の水質を測ってみる.pHが5.2と出た.あいかわらずかなりの酸性だ.こんな作業に思ったより手間取って就寝したときには午前0時半になっていた.