トンレサップ湖調査TS21−1

2000年11月18日〜12月5日

(その7:11月25日)


11月25日(土):シェムリアプ

 午前6時に起床し朝食を済ませて午前7時15分にホテルを出発.20分ほどで船着き場へ到着し,2隻の船に機材を積み込んですぐに出航した.柱状採泥船は湖の中央へ向かう.一方,表層採泥船はここで別れて湖の縁辺部を調べる.

 

 

 浸水林を抜けて湖の中へと入っていく.

 

 

 この日も湖面はおだやかだった.エビ漁の小舟があちこちで操業している.

 

 

 観測点までGPSで船を案内し,到着後はまず水深と水質を測ってそれから柱状採泥となる.この日3番目の測点から採泥器の投入をナリンとサンバースにまかせることにした.尾田さんとダラスは船のバランスをとる側にまわる.

 

 

 ふたりで採泥器を抱えて船縁からそろそろと水中に降ろす.

 

 

 採泥器が安定したころを見計らっていっきに投入.すぐに引き上げる.採泥器の重さは約20キロ.なかなかの重労働だがロープを太いものに換えたおかげで具合はいい.

 

 

 この日は4つの測点で5本の柱状採泥に成功することができた.正午少し前に予定の観測を終えて船をプノンクロムの方向へ向ける.

 

 

 全員がさすがにくたびれたようす.最後の測点がわりと岸に近かったため,20分ほど走っただけで浸水林のあたりに入ることができた.

 

 

 表層採泥船との待ち合わせ時間までやや間があったので水上カフェで時間つぶしをすることにした.ニシキヘビにおそるおそる触ってみる尾田さん.しかし,頭の側には絶対に回ろうとしない.腰も引けたままだ.

 

 

 カフェの裏手では漁網をつくろう漁民の姿があった.投げ網のおもりの付け方やそれをつなぐロープなどの仕組みがよくわかる.バイヨンの壁画でみかける当時の投網とよくにた構造だ.

 

 

 カフェの近くをプノンペンからの高速定期船が走りすぎていく.船内や甲板には観光客の姿も多い.

 

 

 約束どおりの午後1時に船着き場に戻ってみたら,そこにはもう表層採泥船の姿があった.正午すぎには戻っていたという.神谷さんがやけに赤い顔をしている.待ちくたびれてビールを飲んでいたらしい.

 

 

 午後1時半にはホテルに戻ることができた.この日はホテルのカフェで昼食を済ませ,食後にソタムとともにまず上智大学の現地研修所へ行った.それから大きなほうの市場を訪れて柱状試料の開封につかう塩ビ管や試料の撮影に使う三脚などを買いそろえてホテルに戻る.部屋で一休みしたあとでいつもの市場に出かけ,ビールなどの飲み物を買い込んだ.市場の中には観光客の姿が多い.土曜日のせいだろうか.アセイやアヘンの店にもたくさんの観光客が出入りしている.

 午後7時から夕食に出かけた.今夜はホテルから全員でぶらぶらと歩く.近くでの食事とするつもりだったが,まず入ったアンコールボレイホテルのレストランは真っ暗だった.次のビヤホールはカラオケがあまりにも騒々しかったし,ダイヤモンドホテルのレストランは入ってはみたものの誰も出てくる気配がない.そして,やっと到着したサマピアップレストランは結婚披露宴の真っ最中で食事ができそうにはなかった.

 結局のところアルンレストランでの夕食となったが,いつもながらに手際よくうまい料理が並ぶのはうれしいものだ.食事をしながら明日の打ち合わせも済ませておく.明日は柱状採泥チームはこれまでに採った試料を開封して記載やサンプリングをする.一方,表層採泥チームは湖へ出て別の測線で採泥をすることになる.食後も歩いてホテルまで戻り,いつものように川辺のカフェで今日の調査結果をとりまとめノートを整理しておいた.それから部屋へ戻ってシャワー.そしてビール.明日は採泥予定がないのでキャッチャーを作る必要はないのだが習慣になってしまったようだ.午後10時半に就寝.