土木建設工学科講義「地質学概論」の記録(3)
2004年度後期(10月26日:金沢市大桑町の犀川河床)

 3回目の実習も大桑町の犀川河床で実施の予定だった.しかし学生ともども駐車場に集合してみたもののあいにくの雨が降ってきた.しかも川はまだ増水したままで転落事故の懸念もあった.そこで,今日の課題「化石探し」は2週間後までのレポートということで解散した.

 露頭のようすを見るため今日の補助を務めてくれるポスドクの堂満君と河床に降りてみたところ,河原の植生がすっかりなくなっているのがまず目にとまった.


 攻撃斜面側となる露頭が大きく崩壊している.崩落した砂岩には貝化石層がよく見えている.この露頭から削り取られ,そして10メートルほど運搬されたように見える大きな岩塊もある.

 学生たちが何人か河原についてきた.増水した川に見入っている.彼らとともにいつも化石の実習に使うあたりの河原に行ってみたら,そこの植生もすっかりなぎ払われて大桑層中部の青灰色細粒砂岩がすっかり剥き出しになっていた.

 貝化石層がきれいに洗い出されていた.教科書に使いたくなるほど見事な逆断層も見つかった.これまでは表面の汚れでぼんやりとしか認識できなかったものだ.

 露頭の周囲には無惨になぎ倒された植生が堆積している.

 側方からの流水も珍しく激しい.

 きれいに洗われ磨かれた河原のあちこちに白い貝殻が見えていた.ポスドクの堂満君にひきずられるように学生たちも化石を掘り始める.

 本流近くの貝化石層はとくにきれいに洗い出されていた.

 本流沿いでは砂岩に発達する断層や節理もきれいにみえていた.

 ひとりの学生が大きなホタテガイの化石が見つけた.掘り出されたものは合弁のみごとなものだった.

 このあたりはかつて世界最大のサケ科魚類の化石が見つかったところ.念のために捜してみたが,脊椎動物の化石は見つからなかった.

 別の学生が水面下から大きなホタテガイを掘り出した.これも合弁の立派なものだった.

 ポスドクの堂満君も大きなホタテガイを掘り進めていた.じきにホタテガイの大きさ比べが始まった.

 地道に掘っていた彼女もカガミガイの化石を掘り当てた.

 露頭のあちこちからとてもきれいな化石が次々と見つかっていた.台風が露頭を磨き上げてくれたおかげだろう.

 川沿いでの不思議なディスカッションも始まる.

 午前10時半に作業をおしまいにして河原からひきあげた.駐車場の木々がいい感じに色づいていた.

 大桑貝殻橋にちょっと立ち寄って川を眺めてみた.先週の金曜日より水位はずいぶん下がっている.河床を一面に被う大〜巨礫が目にとまる.河床の露頭はかなり隠されてしまっているようだ.

 下流側は礫が河道を埋め尽くすように堆積していた.O1凝灰岩のかなりの部分が礫に被われている.この凝灰岩のやや下流で犀川に合流する支流が礫で遮断されている.

 大学へ戻る途中に浅野川沿いの道を走ってみた.河岸が大きく削り取られて廃棄車輌が川に今にも落ちそうだった.

  • Camera: Fuji BigJob DS-270HD
  • Lens: Supe EBC Fujinon 6.2mm f.2.8