自然科学研究科講義「堆積環境学」の記録(1)
2004年度後期(10月16日:能登半島西海岸)

 第一回目の講義は能登半島西岸の地質の名所巡りにした.参加したのは受講している院生9名と研究室のポスドク2名の計11名.角間キャンパスを午前8時に出発し,市内をとおり能登有料道路を抜けて千里浜海岸なぎさドライブウェイにまず到着した.


 ここで海岸の砂を観察する.なぜ自動車が走行可能なほどに締まりがよいのか考えてもらう.

 千里浜から北上し羽咋市を抜けて能登金剛巌門に到着した.車を能登金剛センターに置いて崖沿いの階段を海岸へくだる.学生たちには岩石や地形をよく見るようにとだけ指示した.

 華子が陰地の記念写真を撮ってやっている.その向こうの岩場に打ち寄せる波はほどよく高かった.

 このあたりの岩場は比較的大きな礫の凝灰角礫岩からなっている.水中自破砕熔岩だろうか.

 巌門の岩穴を抜けると広々とした海食台が現れた.

 ここで何人かと遊覧船に乗ってみた.はるか遠くに少なくとも3段になった海食台が見わたせた.

 海岸の露頭を舟からよく観察できた.複雑な断層群が目にとまる.

 岩場のあちこちに釣り客の姿があった.

 鷹の巣岩を過ぎたあたりで舟は船着場に引き返した.

 上陸して岩場をさらに歩く.このあたりでは角礫が比較的小さくなってくる.

 露頭には節理や小規模な断層が発達する.正断層が多いようだ.

 岩場の階段を登って駐車場へ引き返し,そこから車で海岸に沿ってさらに北上した.

 お昼過ぎに関の鼻に到着した.はるか遠くにヤセの断崖が見える.

 海岸の岩場に全員で降りる.これまでに何度も訪れたところながらこの海底地辷り堆積物の威容には目を引きつけるものがある.

 岩場へ下るスロープはこの地辷り堆積物の上位面に沿って作られているようだ.

 地辷り堆積物とその下位層との境界付近.下位層は貝殻などの石灰質堆積物を多量に含む凝灰質の細粒砂だ.

 岩場をさらに奥へ進む.海底地辷り堆積物の延長をあちこちで見ることができる.

 岩場をのぼって海岸を見下ろしてみると地辷り堆積物の分布がよくわかる.華子がへっぴり腰で岩場を登っていくのもよくわかった.

 裸弁財天の祠を横目に見ながら駐車場へ戻った.

 関の鼻からやや南下してヤセの断崖を訪れた.はるか遠くに訪れたばかりの関の鼻が見えていた.

 ふたたび北上して琴ヶ浜へ.海岸の崖に玄武岩の貫入岩体をまず眺める.

 貫入岩と堆積岩との境界が驚くほどに明瞭だ.

 この岩体に発達する見事な放射状の柱状節理を,崖を回り込んだところで観察した.

 「鳴き砂」で有名な琴ヶ浜だが砂はちっとも鳴いてくれない.汚れが進んでいるのだろうか.
 琴ヶ浜から能登半島東海岸となる七尾に移動した.ここで遅い昼食をとって金沢へ戻った.

  • Camera: Pentax Optio S4
  • Lens: SMC Pentax 5.8-17.4mm f.2.6-4.8