地学実験の記録
2004年度後期(その2:10月26日〜11月12日)

10月29日:野外調査実習(3:金沢市上辰巳の犀川)

 この日も朝からすばらしい晴天だった.犀川の水ももうひいているだろうと思いながら先週行くはずだった上辰巳を訪れた.川の水は予想どおりに少なかった.右岸沿いの藪を露頭に向かってまず歩く.


 右岸の植生が台風による増水で一掃されていた.思わぬところにいい露頭があったため,まずここで露頭の観察を始めた.ここには中部中新統砂子坂層が露出している.

 細かく成層した白色の泥岩と細粒砂岩とがはっきりとした境界で接していた.明らかな断層面だ.この形状だとおそらく正断層だろう.

 成層泥岩とその下位の砂質泥岩とは漸移関係にある.泥岩の基底がゆるやかに波打っている.

 砂質泥岩から巻貝の印象化石が見つかった


 受講生も研究室の飛び入り参加者たちも,みんな思い思いに露頭を叩いている.

 成層泥岩などのおそらく上位となる細粒砂岩には大型有孔虫がたくさん含まれている.

 技術員の陰地が巨大な珪化木を河床で見つけた.受講生たちがそこに駆け寄っていく.

 珪化木を火花を散らせながら懸命に叩く受講生たち.その中からオパ−ルも見つかった.

 この露頭を離れていつも訪れるより上流の露頭へ行くことにした.

 陰地が受講生たちを案内して先に進む.

 ふたりとも危なげない足取りで彼についていく.その後から不案内な足取りで華子や院生たちが続く.

 左岸側は一面が礫に覆われていた.このあたりにかつてあった大きな水たまりは消失していた.

 露頭の説明は加藤さんと陰地らにまかせ,川を渉れそうな場所を探して上流へ行ってみた.

 抜けるような青空にちょっと紅葉しかかった緑の木々が映える.

 露頭では説明が終わったようだ.川を渉れそうなところもようやく見つかった.

 まず陰地がやってきて川の深さなどを用心深く確かめる.

 そして邪魔な倒木をどかして受講生たちを案内してくる.

 川の中央付近はふくらはぎくらいの深さだった.しかし,いつも節理を観察する河床の露頭は水没していて見ることができなかった.

 そのまま川をくだって砂子坂層上部の大露頭を見にいった.

 ここで斜交層理の説明をする.そして河原をさらに下流へとくだった.

 植物化石を多産する露頭へ川を渉る.水は冷たくないがこのあたりの流れは強い.

 ここで受講生たちに珪質泥岩とそれに含まれる植物化石を観察してもらう.

 短い時間ながらもいくつもの植物化石が見つかる.そのやや下流側に研究室で崖渡りをいつも試みる露頭が見えてはいたが,この水勢ではそれを試みる気にはなれなかった.

 露頭での観察を終えて強い流れの中を右岸へ引き返してくる.

 華子がなぜかほぼ同じ位置で固まったまま・・・.陰地が助けに行く.

 辰巳用水の水取口近くまで礫層は広がっていた.あの露頭も手がかり足がかり付近まで水没していた.

 水取口と露頭とを見下ろしながらバスへ戻る.

 見上げる青空には一筋の飛行機雲.

11月5日:古生物学実習(1:貝化石の整形と鑑定)

 カンボジア渡航中だったため加藤さんの指導で貝化石の整形と鑑定の実習が実施された.


 見事なホタテガイもあったが,珍妙な芸術作品も残されていた.

10月29日:地質図学実習(2:空中写真と水系図)

 名古屋出張のためこの日も加藤さんとTAの大植君の指導で空中写真の判読と水系図の作成実習が行われた.以下,撮影は堂満華子.


 地形図上にトレペをのせて水系を丁寧にたどっていく.大植の指導にも熱がこもる.

 水系図がだんだんと仕上がっていったようだ.

 最後に加藤さんの確認を受けて実験終了・・・たぶん.

  • Camera: Pentax Optio S4 and Fuji BigJob DS270-HD
  • Lens: SMC Pentax 5.8-17.4mm f.2.6-4.8 and Super EBC Fujinon 6.2mm f.2.8