地学実験の記録
2007年度後期(その2:11月9日〜12月7日)

2007年11月9日:液状化実験(自然科学研究科) ※会議のため中国貴州省茘波出張中

 共同担当者の高原さんに自然科学研究科で液状化実験をやっていただいた.


2007年11月16日: 野外調査実習(2:金沢市大桑)

 金曜日は必ず雨になるという今学期だったが,今日は幸いにも天気がもってくれそうだった.野田山か上辰巳へ行くつもりだったが今後の実験予定を考え大桑の犀川河床で実習を行うことにした.午後1時すぎに角間キャンパスを公用車で出発.現地に着いて河岸へ下りる.ここ数日の雨のためか犀川の水量は比較的多い.


 化石最終の予定地は濡れてはいたが水没してはいなかった.


 大桑層の地質時代や当時の環境,そして化石の採集方法について説明しすぐに実習にとりかかってもらった.

 すぐに大きなホタテガイの化石がみつかった.小さいものもいくつかみつかる.

 場所を変えても貝化石が次々とみつかる.今回はやたらとついているようだ.

 1時間もたつとかなりの数を集めることができた.これだけあれば貝化石の室内実習にもじゅうぶんだ.ひとつずつ新聞紙でていねいに包んで上流側へ移動した.

 上流側では犀川層と大桑層との不整合についてまず説明する.水流に洗われた基底礫がよく観察される.

 さらに上流の犀川層の分布域に移動して地層の観察.露頭表面が洗われたせいか植物化石がやたらと目立つ.高い水位のため露頭の面積はかなり狭いが少人数なので場所の心配もない.

 生痕だらけの大きな木片化石があった.ノジュールのなりかけらしい微細な貝化石の集合体もある.

 化石を捜して水際まで移動する.

 天気は回復してきたが午後4時前だというのにもう暗くなってきた.採集した資料を手早く新聞紙でくるんで現場を撤収する.

 午後4時すぎに角間キャンパスへ戻り,採集した化石を実験室のテーブルに広げて実習終了.

2007年11月23日:「勤労感謝の日」のため休講

 


2007年11月30日:野外調査実習(3:金沢市上辰巳)

  午後から雨の予報にもかかわらず午後1時になってもいい天気だった.帰国直後で実習準備にやや手間取ったため午後1時半に角間キャンパスを出発し,当初の予定どおり上辰巳に野外実習にでかけた.ダム建設予定地の犀川沿いに公用車を止めて河床へ下りる.夏にはびっしりだった植生もほぼ枯れ果てている.犀川の水位もかなり低かった.


 犀川の右岸を歩いて上流側へ移動.礫の河原が終わるあたりで最初の露頭観察にとりかかる.日没が早くて現地滞在時間が限られるため,露頭の説明を最初にやってしまい,それから自由観察にとりかかってもらった.

 ここに露出しているのは中新統砂子坂層の凝灰質砂岩だ.凝灰質の基質に白色軽石が散在する.

 大型有孔虫が多量に含まれる層準もある.ひとりがいい試料を見つけだしていた.

 河岸の崖を伝うように次の露頭へ.水位が低いので川沿いでも濡れずに歩けそうだった.

 しかし途中で断念.崖に上がってくる.

 犀川が大きく曲がるところで次の露頭に到着.ここにも砂子坂層が露出している.最初の露頭よりもノジュール層が明瞭に確認できる.

 緑色鉱物が卓越する層準もこの露頭のほうが顕著だ.

 川を渉って左岸に移動.

 離水した河床を下流に向かって歩きながら,そこに発達する正断層系や生痕化石について説明する.

 さらに下流へ移動し巨大な崖に発達する斜交層理を観察.

 最後にまた川を渉って砂子坂層の凝灰質泥岩を見に行く.

 緻密で淡灰色の凝灰質泥岩がここで観察できる.

 きれいな植物化石を多量に含むのが特徴だ.今回も葉っぱなどがみつかっていた.

 川を引き返し辰巳用水の取水口を眺めながら官用車へ.

 午後4時半に学生実験室へ戻り,試料などをまとめて終了.これで野外実習を3回終えることができた.あと一回だけ天気がもってくれればいいのだが.

2007年12月7日:野外調査実習(4:金沢市野田山)

  終日雨の予報だったがなんとなく持ってくれそうな微妙な天気でもあった.最後の野外でもあるし午後1時すぎに思い切ってキャンパスを出発し野田山へ向かう.平栗へ続く林道入り口に公用車を止めて林道へ足を踏み入れた.頭上にはやけに大きな松ぼっくりがたくさんあった.


 例年どおり林道に入ってすぐのところにある露頭で礫岩を観察する.淘汰不良の円礫岩だ.

 続いて林道を下ったところにある竹林奥の露頭へ.

 ここに露出するのは大桑層上部の黄褐色細粒砂岩.

 この黄褐色の細粒砂岩が林道に沿ってずっと露出する.

 黄褐色砂岩にはときおり貝の印象化石が見つかる.

 今日はいろんな形状の巻貝の印象化石がたくさん見つかっていた.

 林道をさらに下って烏骨鶏の里近くの泥岩の露頭へ.

 御峰層の灰白色泥岩が露出する.ここでも小さな二枚貝の印象化石が見つかっていた.

 この林道が別所方面からやってくる別の林道と交差するあたりに下荒屋層の露頭がある.

 多量の白色軽石を含む粗粒凝灰岩だ.層準によっては白色軽石が見事に成層する.

 廃棄物処理場へ向かう大型トラックがときおり近くを走り抜ける.午後3時をすぎると早くも日が傾いてくる.

 朝ヶ屋層の灰白色泥岩を見たところでこの日の地層観察はおしまいにした.

 小さな橋を渡って川の対岸へ.

 河岸の見事な露頭をここで観察.

 TAの正井が渡渉を試みるが強い流れのためあえなく退却.

 橋を引き返し公用車に乗って角間キャンパスへ戻る.

 午後4時に地学学生実験室に到着.簡単なミーティングののちに実験終了.

  • Camera: Ricoh Caplio 500G wide
  • Lens: Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3