地学実験の記録
2011年度前期(その3:5月27日〜6月17日)

2011年5月27日:野外調査実習6(金沢市小二又)

 野外調査実習の最終回は,これまでの実習の総括ということで小二又で実施した.角間キャンパスをマイクロバスと公用車で午後1時すぎに出発.ほどなく実習地となる金腐川の上流に到着.まず現在地を学生たちに確認してもらい,つづいて対岸にみえる露頭に注目してもらった.川に転落する危険性があるため露頭には近づけなかったが,遠目にみえる地層の傾斜方向に気をつけて観察してもらった.


 金腐川に並行する道路に沿って下流へと歩く.その途中にある地すべり地形について説明する.

 土木工学的な視点から高原さんにも解説を加えてもらう.

 さらに歩いて林道沿いの露頭に到着した.

 ここで約10分間の自由観察時間.これまでの実習でみてきた地層群と比較しながらの観察を学生たちにうながす.大きな二枚貝の印象化石がすぐにみつかっていた.

 白い貝化石もあちこちでみつかる.生痕化石も露頭の表面に観察される.基質となるのは青灰色の細粒砂岩.

 この地層がこれまで何度もみてきた大桑層であることを説明ののちに次の露頭へ移動した.

 道路沿いの金腐川の河床が3番目の観察露頭.護岸の金網をたよりに河床へ降りる.

 学生たちも次々と河床へ降りてきた.

 ここに露出するのは青灰色砂質泥岩からなる大桑層の下部.構成粒子の大きさや化石がみつからないことに注目してもらう.また,2番目の細粒砂岩との層位についても理解してもらう.

 金網をよじのぼってさらに下流へ移動.

 4番目の露頭は道路沿いの広範囲にわたるもの.ここでも10分間の自由観察時間を設定した.なるべく広い範囲にわたって観察するように指示しておく.

 ここに露出するのは高窪層最上部の上涌波凝灰岩.下位は成層した軽石質凝灰岩.

 上位になると泥質凝灰岩に変化する.学生たちにはここで火砕流噴火や火山灰層などについて解説しておいた.

 道路をさらにあるいて小二又の集落に入った.そのまえに,ここで観察されるおおきな褶曲構造について説明しておいた.

 集落を抜けるあたりで最後の観察地となる大露頭がみえてきた.この露頭の全景がみえるところへ学生たちを案内し,そのうえでここまでの層序を総括して実習終了.

 時間にやや余裕があったので道路沿いの軽石質凝灰岩を観察してもらった.

 この層準になると軽石の粒径がさらにおおきくなる.

 高原さんから対岸にみえる地すべり地形についての解説も加わる.

 午後3時半に現地での実習終了.小二又のバス停で待っていてくれた大学のマイクロバスへひきかえした.

 角間キャンパスに戻り,学生実験室で次回以降の予定について説明し実験終了.

2011年6月3日:地質図学実習1(地学学生実験室)

 今日もいい天気に恵まれていたが,当初の予定どおり学生実験室で等高線から立体地形を読みとる地形図学実習.黒板で等高線の意味や読み方などを説明し,配布した練習問題を使ってさっそく実習にとりかかってもらった.


 等高線をよみとるという慣れない作業に学生たちは苦労していたようだ.

 相談しあいながら実習を進めていく.

 動物ペンケースがなぜかひとところに集まっていく.

 夕方からの国外出張のため午後3時で実験終了.

2011年6月10日:土質力学実習1(角間キャンパス) ※カンボジア出張中

 高原さんの担当による土質力学実習の1回目.角間キャンパスのあちこちを歩き回りながらの地盤の解説があったはず.


2011年6月17日:土質力学実習2(地学学生実験室)

 2回目の土質力学実習.担当は今回も高原さん.土質力学の基礎についてのまず講義から.


 居眠りもせずにみんなちゃんと聴いている.

 最初はケチャップを使ってのチキソトロピーの実験.

 ケチャップが入ったビーカーをゆらしたりかたむけたりしながら,時間の変化にともなう粘度の変化を観察する.

 つづいてダイラタンシーの実験.材料は水溶き片栗粉.これを手のひらにまずたらし・・・.

 それを指先でこねておおきな剪断応力をあたえてみる.

 つづいて手のひらをそっと傾けて小さな剪断応力で液状になることを確かめる.

 学生たちはこの実験をとても楽しんでいたようだ.

 そして砂をつかっての液状化の実験.ビーカーに中粒砂と水を入れてよく撹拌.

 砂と水とがきれいに分離する.

 それをさらにはげしく撹拌してみたりもする.

 最後は実験装置を使っての地盤液状化の実験.水で飽和した砂層の上に乾電池.砂の中にはプラスチックのフィルムケースが埋め込んである.

 砂の入った容器をはげしくゆさぶると,電池は沈みプラスチックケースはちゃんと浮かび上がってきた.

 そして金沢市の地質図を使っての講義.

 午後4時すぎに実験終了.

  • Camera: Pentax Optio W60 and Optio WG-1 GPS
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5