地学実験の記録
2011年度後期(その2:10月28日〜11月25日)

2011年10月28日:野外調査実習3(金沢市大桑町)

 今日も朝から好天に恵まれた.当初の予定どおりに3回目の野外調査実習にでかける.午後1時に学生実験室を出発し,大学のマイクロバスで大桑町の犀川へ向かった.


 角間キャンパスの南地区から田上へ,そして山側環状道路をとおって小立野台地へあがる.

 10分ほどで大桑町を流れる犀川に到着した.おんまかいがら橋のたもとでバスを降りる.

 犀川の水位はこれまでみたこともないほどに低かった.

 橋の上流側がほとんど全面露頭になっていた.大桑層の下部と犀川層が河床いっぱいに露出している.

 学生たちとともに上流側へ歩く.先週欠席のふたりは高原さんに案内されて下流の大桑層中部へ化石採集に向かった.

 橋から150mほど上流へ歩いたところで自由観察時間にした.ここには中新統犀川層の凝灰質砂岩が分布する.

 学生たちは露頭の思い思いの場所で地層の観察を開始した.暑いほどの気温だった.

 露頭の表面をけずって灰白色の新鮮な面で構成物や含まれる化石などを観察する.

 露頭のあちこちで石灰質ノジュールが観察される.地層の中からは小さな二枚貝の化石がみつかる.

 さまざまな大きさの黄白色軽石と炭化木片.

 学生たちはあきることなく観察を続けていた.観察時間を15分間延長する.

 学生たちからちょっと離れて橋から河床をみわたしてみた.やはりこれまでにみたことのないほどの水位の低さだった.橋の直下には2枚の凝灰岩層がきれいにみえていた.

 ふたたび河床へ下りていく.

 生痕がわずかに観察される木片があった.二枚貝の化石も露頭の表面でみつかる.

 砂岩中のツノガイ化石.石灰質ノジュールの中にもある.

 学生たちに集まってもらい,自由観察時間中に学生たちが発見したものにもとづいて当時の自然環境をくみたててみる.犀川層や金沢の地史についても解説を加え,その後に全員で下流側へと移動した.

 下部更新統大桑層下部が分布するあたりでふたたび自由観察時間をもうけた.砂岩を構成する粒子の大きさや含有物にとくに注意をはらってもらう.

 みたばかりの犀川層の砂岩との比較に重点をおきながらの観察.

 大桑層の観察がひと段落したところで,ふたつの層の境界の捜索を開始してもらった.今学期の学生たちは理解が早く動きもいい.すぐに上流側へ移動していった.

 両層の不整合面のあたりにすぐに集まってきた.カンもいいようだ.

 河床地形と地質から不整合面が認定されることをここで説明した.

 さらに下流側へ移動して凝灰岩の観察も行った.これは大桑層下部に挟在するOV凝灰岩.白色緻密な細粒凝灰岩.

 上位にあるのは灰白色でやはり細粒のOP凝灰岩.

 残った時間をつかって大桑層下部でまれにみつかるサメの歯化石を探してもらった.

 学生たちはみんな真剣だった.それぞれに場所をきめて地層を掘り続ける.

 残念ながらひとつもみつからないままで時間切れ.駐車場へひきかえすことになった.

 橋から見おろす河床の露頭には,学生たちがいま掘ったばかりの穴があいていた.

 駐車場でマイクロバスに乗って角間キャンパスへ.

 山側環状へ下りる道路からは戸室山の崩壊面がきれいにみえていた.

 午後4時前に角間キャンパスに到着.学生実験室で次回の予定を説明し実習終了.

2011年10月29日:野外調査実習地の下見(金沢市小二又)

 朝からのいい天気にさそわれるように金沢市小二又を流れる金腐川沿いへでかけた.次の野外実習の予定地だ.


 植生はまだ深いが露頭状況は良好だった.

2011年11月11日:地質図学実習1(地形図の読み方:地学学生実験室)

 キャンパス内での野外実習の予定だったが,朝方からの強い雨のため室内実習に切り替えた.


 第一回目の室内実習は地家図の読み方.黒板を使って地形図や等高線の読み方を説明し,それからすぐに練習問題にとりかかってもらった.実験室の寒さに耐えかねてファンヒーターをつける.

 地形図の練習問題はまず基本的な地形が等高線で描かれた基礎編1から.

 学生たちはみんな丁寧に作業を進めていた.色鉛筆での塗り絵がなかなかうまい.

 基礎編1が終了したら問題のグレードがややあがる基礎編の2にとりかかる.

 雨はずっと降り続いていたがファンヒーターのおかげで実験室の中は暖かい.

 時間までに作業を終えられなかった学生たちは基礎編2を宿題で持ち帰る.

 午後4時15分に実験終了.

2011年11月18日:土質力学実習1(金沢大学角間キャンパス) ※カンボジア出張中

 環境デザイン学類の高原さんの担当による第一回目の土質力学実習.前半は角間キャンパスを歩きながらの事例説明.後半は学生実験室での講義だったようだ.


2011年11月25日:野外調査実習4(金沢市小二又)

 朝から雨が降ったりやんだりの一日だったが,バスを利用しての最後の野外実習なので活動時間を半分に短縮し,バスで露頭をめぐりながらの実習にした.午後1時すぎにバスに乗車.今日は大型バスだった.中はさすがに広い.


 キャンパス外周道路をへて県道井波線へ.戸室山が遠くにみえる.

 廃棄物処理場付近で井波線をおりて地域道へ入る.このあたりで雨がやや強くなった.

 金腐川沿いにある最初の露頭でバスを降りた.ここには更新統大桑層が露出している.露頭の表面に貝化石が白くみえることや,地層が明らかに南へ向かって傾斜していることを学生たちに確認してもらってバスへすぐに引き返した.雨はまだ降り続いていた.

 バスに乗って2番目の露頭へ移動する.


 この露頭は最初の露頭から北に200mほどの位置にある.バスを降りて露頭の観察.雨はかなり小降りになっていた.

 ここに露出するのも大桑層だ.青灰色の細粒砂岩からできている.これまでの3回の野外実習でみてきた地層と比較しながらの観察を学生たちに求める.

 砂岩の中に貝化石や貝の印象化石がみつかっていた.

 学生たちは泥でよごれた長靴を洗い流しつつ側溝の中を歩いてバスへ引き返した.


 バスでさらに下流へ移動した.金腐川をわたってすぐのところに軽石質凝灰岩が露出する.鮮新統上涌波凝灰岩だ.

 粗粒の軽石から構成される.風化した部分は黄褐色だが新鮮なところは青灰色となる.

 バスでさらに下流へと移動する.その途中でバスを停めてもらい,このあたりで地層が北側へ傾くことをとおくの露頭で学生たちにみてもらう.

 小二又のバス停でバスから降り,農道沿いを少し歩く.


 ここからは畑の向こうに高窪層から上涌波凝灰岩,そして大桑層にかけての連続露頭をみることができる.ここでこれまでにみてきた地層についてのおさらい.

 大学のバスが待つ小二又のバス停へ引き返した.幸いにも雨はすっかりあがってくれた.


 その途中で上涌波凝灰岩が観察できる露頭に立ち寄った.白色軽石の密集層がここで観察できる.

 そしてバスに乗って角間キャンパスへ.

 バスをゆっくりと走らせてもらいながら,今日みてきたルートのおさらいをやってもらう.

 午後2時すぎに角間キャンパスに到着.そのまま学生実験室へ.

 これまでの4回の野外実習で観察した地層について,金沢の地形図に結果を記入しまとめてもらって今日の学生実験が終わった.

  • Camera: Pentax Optio WG-1 GPS
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5