地学実験の記録
2012年度後期(その3:11月16日〜11月30日)

2012年11月16日:野外調査実習(5.金沢市大桑町)

 昨日までの荒れた天気がうそのように晴れ上がってくれた.予定どおり大桑町の犀川へ5回目の野外調査実習にでかけることにする.午後1時に地学学生実験室に集合し,それから角間キャンパスを午後1時すぎにマイクロバスで出発.


 自然科学研究科のあるキャンパス南地区をとおって田上へ.

 山側環状道路から涌波のトンネルを抜けて台地上の涌波へ.

 そこから大桑簡易野球場へつづく小路をとおって大桑貝殻橋に到着.

 バスから降りたらまず現在地の確認作業にとりかかってもらう.いい目印になる貝殻橋があるし,前回の野外実習地からそれほど離れていないため簡単な作業だったようだ.

 現在位置の確認後に学生たちとともに犀川の河床へ降りた.

 昨日までの豪雨のわりには犀川の水位はほどほどだった.

 段差のある河床をとおって露頭の上を上流へ歩く.

 その露頭が水没するぎりぎりのところで今日の実習を開始した.いつものとおり,まずは約20分間の自由観察時間から.

 学生たちは狭い露頭に群がるように観察を開始した.

 いつものように露頭を掘って堆積物や含有物をそれぞれ調べる.

 ここに露出するのは中新統犀川層.凝灰質の細粒砂岩から構成される.

 学生たちからやや離れたところで岩相を再確認しておいた.石灰質ノジュールと二枚貝の化石.

 炭化した植物化石.よく円磨された白色軽石.

 ひとりの学生が大きな炭化植物化石をみつけだした.手のひら大でなめらかに円磨されている.

 虫食い痕のある植物化石がようやくみつかった.

 大きな白色軽石が凝灰質砂岩の中にいくつもみつかる.

 自由観察時間の終了後,この地層の概略を説明し,みつけだした含有物から学生たちにこの時代の地史をくみたててもらう.

 下流側となる貝殻橋の近くまで全員で移動.このあたりに分布するのは下部更新統大桑層の下部になる.植物化石にとむ暗灰色の泥質砂岩〜砂質泥岩から構成される.

 犀川層と大桑層とのおおきな時代の違いを学生たちに説明し,それから両者を境する不整合面の探索作業にとりかかってもらった.

 学生たちは露頭を叩きながら最初の露頭へとゆっくり引き返していった.断層や節理で形成された直線的な境界がやはり気になるようだった.

 約20分後に正解となる層準を教えてここでの実習が終了.この層準でも虫食い痕のある大きな植物化石がみつかっていた.

 この層準で観察される凝灰岩層についてもここで説明しておく.

 残った時間を使ってこの層準でのサメの歯化石探し.

 靴を脱いで対岸の露頭へ移動する学生たちがいた.

 冷たい水の中を歩いて対岸へ到着.残りの学生たちは手近な砂岩を叩いていたが,残念ながら今回も収穫はなかった.

 対岸のふたりも収穫なしでおわったようだった.冷たい水の中を歩いて戻ってくる.

 日が傾きはじめた午後3時すぎに現地での実習終了.

 紅葉が映える公園沿いに歩いて駐車場へ.

 ここでマイクロバスに乗り込んで角間キャンパスへ戻った.

 簡易野球場をみおろしながら涌波の道路へ.

 涌波のトンネルをふたたびとおって山側環状道路へ.

 まだ午後3時半だというのに影は長かった.

 山側環状道路から田上をとおって角間キャンパスへひきかえす.

 南地区への入口となるトンネルを抜けて.

 新しい留学生用の宿舎の下をとおって中地区へ.

 そして北地区の総合教育棟へ.

 午後3時40分に総合教育棟に到着.実験室で簡単なまとめをやって今日の実習が終わった.


2012年11月24日:野外調査実習(補講)

 風邪で化石採集実習を欠席した学生をつれて大桑町の犀川河床へでかけた.気温は低かったがこの季節とは思えないほどの好天だった.


 犀川の水位もほどよいものだった.貝化石床が離水していた.

 現地で化石採集をすぐに開始する.

 うまいぐあいに化石が次々と見つかっていた.

 ここ数日の雨のおかげで露頭状況はとてもよかった.生痕化石や貝化石が露頭面に浮き上がってみえていた.

 二枚貝や巻貝の化石がびっしり重なり合っている.

 貝化石の実習には十分な数の化石を掘り出して終了

 角間キャンパスへ.

2012年11月30日:※カンボジア出張中のため休講

 


  • Camera: Pentax Optio W60, Casio Exlim EX-F1 and Garmin Oregon 550
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5 and Casio Exlim Optical 7.5-87.6mm f.2.7-4.6