地学実験の記録
2013年度前期(その3:5月31日〜6月7日)

2013年5月31日:岩石学実習(1:金沢大学角間キャンパス北地区)

 角間キャンパスの中での地質調査実習の予定だったが,昨日までの強い雨で露頭がある沢の中はぬかるんでいた.そのため,キャンパス北地区の枯山水を利用しての岩石の観察実習に切り替えた.岩石の種類や成因などについて実験室でまず説明し,その後に代表的な岩石をルーペで観察してもらった.


 安山岩やカコウ岩,玄武岩などを観察したうえで,その特徴をしっかりと記載しておく.

 凝灰岩や砂岩などの堆積岩も見ておいてもらう.

 その後にキャンパス北地区の枯山水周辺へ繰り出した.

 学生たちは思い思いの場所で岩石探しと観察を開始した.これは片麻岩.

 安山岩はあちこちで見つけることができる.

 捕獲雁を多量にふくんだカコウ岩もある.学生たちは礫岩と見間違えていたようだ.

 好天には恵まれたが気温も少しばかり高かった.日陰に逃げ込む学生もいれば,日なたでがんばる学生もいる.

 枯山水を遡上しながら岩石の観察をつづける.

 スレートらしき岩石もある.

 図書館の近くにあるのは粗粒のカコウ岩でできたモニュメント.

 総合教育講義棟の近くでは礫質砂岩を見ることができる.観察する場所によって,砂岩にも礫岩にも見える.

 学生たちは上流側と下流側とに完全に分かれてしまった.上流側の指導は高原さんとTAのふたりにまかせておく.

 これは典型的な礫岩.季節柄,リクルートスーツをきた学生が通りかかる.

 底生有孔虫にそっくりの実をつける植物が枯山水沿いに繁茂している.

 実験室に戻って観察結果の清書.

 午後3時半に実験終了.

2013年6月7日:野外調査実習(4:金沢大学角間キャンパス)

 この日も朝から快晴だった.農家のみなさんには申し訳なくなるが,野外実習が予定どおりに実施できるのはありがたい.予定どおり,角間キャンパスの中での地質調査実習を行った.午後1時に地学学生実験室集合.これまでの野外実習を簡単におさらいしてのちに総合教育棟を出発した.


 県道を若松方面へと歩いてくだる.右手にある大きな露頭は植生にすっかりおおわれていた.

 県道沿いにあるポンプ室の裏の沢に入った.今年は雨が少ないわりには植生は深い.

 学生たちも一列にならんで沢に入ってきた.

 腰までもある植生をふみわけながら沢に沿って奥へと歩く.学生たちはさわぎながらもあとからついてくる.

 沢沿いの露頭に到着.ここには下部更新統大桑層の黄褐色砂岩が露出する.ここで約10分間の自由観察時間をもうけた.

 砂岩の表面に発達する生痕化石に留意してもらう.

 最初の露頭での観察が終了.沢のさらに奥へとみんなで移動した.

 ちょっとした流れを飛び越えるときには喚声があがったりもする.

 2番目のいい露頭がみえてきた.

 この露頭では表面に発達する生痕化石を対岸から観察するにとどめた.

 沢をさらに奥へ移動した.ちょっとした崖をよじのぼっての移動になる.学生たちのテンションがさらにあがったようだ.

 全員が崖を無事にクリアして沢の奥へ.

 ここにも大桑層の黄褐色細粒砂岩が露出する.学生たちは露頭にはりついて砂岩を掘りはじめた.

 風化が進んだもろい砂岩だ.学生たちがときおりすべり落ちてきたりもする.

 二枚貝のきれいな印象化石が見つかっていた.

 この沢から北へのびる支沢をみんなでつめることにした.倒木の下をくぐり抜け,下生えをかきわけながらその沢の入口へ移動する.

 一列になって支沢を登った.学生たちにとっては初めての沢登りの経験となったようだ.

 ときおり悲鳴はあがるものの,みんなちゃんとついてきてくれた.

 沢をつめたところでひと休み.周囲に露出する砂岩について,また,樹木の根元でみる表層滑りについてここで説明しておいた.

 来たとおりのルートをひきかえす.学生たちは足元を不安がりながらも用心深く歩いてくれる.

 全員が無事に沢から出てきた.

 下生えをかき分けながら県道方面へみんなで歩く.

 途中にあるちょっとした崖も無事にクリア.

 沢歩きを楽しんでもいるようだった.

 県道を角間キャンパス方向へひきかえす.

 3限目がちょうど終わった時間帯だった.ヘルメットをかかえた一団を,帰宅途中の学生たちが不思議そうな顔で見送ってくれる.

 途中にあるコンビニエンスストアでまたひと休み.暑い一日のせいか,アイスクリームがおいしそうだった.

 ここから角間の里山ゾーンに移動した.

 ハナンジャコ口からゾーンの中へ足を踏み入れる.

 このあたりには更新統卯辰山層が露出する.大桑層とはちがって粗粒で脆弱な砂岩から構成されている.斜交層理などの堆積構造も観察される.

 里山ゾーンの水田地帯もついでに見学してもらった.

 自然科学研究科へつながる道路をわたって里山ゾーンの東側へ移動した.

 里山ゾーンの緑がきれいだった.

 暑いながらも心地よい散策を楽しめる.

 角間の里にしばし立ち寄ってから県道へ.

 県道を歩いて総合教育棟へひきかえす.

 暑かったこともあって,学生たちはかなりくたびれたようすだった.

 午後4時前に総合教育棟の学生実験室に到着.簡単なまとめののちに解散.

  • Camera: Pentax Optio W90 and Casio Exilim EX-F1
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5 and Casio Exilim Optical 7.3-87.6mm f.2.7-4.6