地学実験の記録
2015年度前期(その2:5月8日〜6月5日)

2015年5月1日:月曜日の授業日


2015年5月8日:地質調査実習3(金沢市大桑町)

 朝から好天にめぐまれた一日だった.当初の予定どおりに大桑町の犀川に地質調査の実習にでかけた.実験室での説明ののち,マイクロバスと公用車とに分かれて実習地へ移動した.


 おんまかいがら橋付近で現在地を学生たちに確認してもらい,それから橋の上流側の河床へ移動した.

 5月上旬とあって植生が濃くなってきている.

 雪解け水の影響なのか犀川の水位はやや高めだった.

 橋から約100mほど上流側にある露頭が最初の観察の場となる.ここで薬20分間の自由観察時間をあたえた.

 学生たちは露頭にちらばって観察を開始した.ハンマーで露頭を掘ったり叩いたり.

 ここに分布するのは中新統犀川層の凝灰質砂岩.濃灰色の細〜中粒砂から構成される.

 植物の化石や貝化石を含むことが特徴だ.

 ここで全球カメラのテスト撮影を行ってみた.専用ソフトでパノラマ写真風に変換してある. 

左右約180度が写っている.解像度はいまひとつだが露頭の状況や実習の雰囲気はよくわかる.

 木陰で地層を観察する学生たち.

 こっちは炎天下で地層を観察する学生たち.

 直線的に流れる犀川だが流れが左右に写っていてふしぎな光景だ.

 川面にカメラを近づけてみた.川岸が画面の左右に写っている.

 学生たちは木漏れ日の下や炎天下で観察を続けていた.

 よく円磨された白色軽石もふつうに見つかる.炭化した植物の破片もある.

 ここでの観察の終了後,地層の年代などの情報を学生たちにあたえ,学生たちが発見したものとあわせてこの時代の自然環境やこの地層の堆積環境について考察してもらった.

 2番目の露頭へと河原を歩いた.その途中で石灰質ノジュールについて説明した.

 橋から約30m上流あたりで足を止めた.ここには下部更新統大桑層の下部が露出する.暗灰色の極細〜細粒砂岩から構成される.

 最初の露頭とこの露頭とで時代に大きな差があることを説明し,両者の岩相の違いを認識してもらったうえで,学生たちに不整合探しの課題をここでやってもらった.

 学生たちは地層を観察しながら上流へゆっくりと移動していった.

 不整合探しの実習をパノラマ風に見るとこんな感じになる.これが上流方向.

 一方,こっちが下流方向.

 カメラを露頭面に近づけると岩相がある程度は描写される.

 学生たちの一部は犀川の段差をこえてさらに上流へ移動していった.

 不整合と認識したところで待機してもらう.

 学生たちはそれぞれに不整合と認識したところで座り込む.

 まだまだ探し続ける学生も数多い.

 これがその不整合面.

 学生たちがそれぞれに不整合面を判断しところで解答を提示した.この段差地形にまず注目してもらう.地層の硬軟が地形にあらわれることを理解してもらう.

 つづいて不整合面の直接の観察.面にそって基底礫岩があることを確認してもらった.

 最後の実習はおんまかいがら橋の直下付近.

 2枚の凝灰岩がとてもきれいに見えていた.

 犀川の水位がやや高いせいか渡渉には苦労していたようだ.

 橋付近の河床はこんなふうに撮れた.

 河原に散らばった学生たちのようすがよくわかる.

 凝灰岩の露出状況もよくわかる.

 この露頭は大桑層下部の上位付近となる.サメの歯の化石がよくみつかるところだ.

 学生たちはここでサメの歯の化石さがしをはじめた.

 みんな一心に地層を掘りつづける.

 学生たちの安全管理をTAの平沢さんにまかせて橋の上へ移動した.

 橋の上からは学生たちの作業のようすがよく見えた.

 離水した河床のあちこちに散らばって露頭を掘っている.TAの平沢さんが遠くから見まもる.

 橋の下流側はこんな感じになる.

 一方の上流側はこんなふうに写る.河床には実習中の学生たちがみえている.

 かいがら橋の中央で撮った写真.

 河原に降りて学生たちとともに実習地をあとにした.

 大学のマイクロバスと公用車に乗り換えて角間キャンパスへ.

 午後4時前に総合教育2号館の地学学生実験室に戻った.ここでノートなどをまとめてもらい今日の実験が終了した.

2015年5月15日:カンボジアで会議のため休講


2015年5月22日:地質調査実習3(金沢市大桑町)

 朝から好天にめぐまれた.今学期の地学実験は悪天候による予定の変更がまったくない.実験室での説明ののち,マイクロバスと公用車とに分かれて小二又の実習地へ移動した.キャンパスからものの5分ほどで実習地に到着.学生たちが乗ったマイクロバスもすぐに到着した.


 まずは現在地の確認を学生たちにもとめる.道路の配置や地形が複雑なせいか学生たちはややとまどっていたようだった.

 その後,道路の反対側に移動して金腐川沿いの崖にみられる地層を遠目に観察した.できた当時は地層がとてもきれいにみえる露頭だったが,いまは深い植生におおわれている.

 植生の濃淡を手がかりにこの露頭での地層が南に傾斜することを学生たちに確認してもらう.

 ここで地すべり地形についても解説し,それから公用車で次の露頭へ移動した.学生たちはTAたちに先導されて徒歩で移動する.

 2番目の露頭はすぐ近くの農道沿いにある.学生たちはすぐに到着した.

 農道沿いにある露頭をまず自由に観察してもらう.この地層が,これまでの実習でみてきたどの地層と類似点が多いかに留意してもらう.

 ここには大桑層の細粒砂岩が露出する.

 含まれる貝化石から学生たちはすぐに対比できたようだ.

 とおくの斜面に崩落したあとが見えた.露出するのはどうやら大桑層のようだった.

 その崩落地をみながら学生たちと3番目の露頭へ移動した.

 その露頭は崩落地のすぐ近くにある.

 金腐川の河床へ学生たちとともに降りる.

 降りたところから少し上流に移動したところが3番目の観察地.

 ここには高窪層の砂質泥岩が露出する.地層の全般的な傾斜方向から考えて,この泥岩層が大桑層の砂岩の下位にあることを理解してもらう.

 護岸のコンクリートをよじのぼって4番目の露頭へ.

 移動する学生たちのあとを公用車で追いかけた.

 この露頭の右側では河床でみたものと同じ高窪層の泥岩を観察することができる.

 初夏らしく,地層の観察をつづける学生たちの背後には何匹もの毛虫がぶらさがっていた.

 一方,この露頭の左側では軽石質の粗粒凝灰岩を観察することができる.凝灰岩の成因や噴火の規模についてここで解説しておいた.

 さらに移動して小二又の集落へ.

 逆光ながらも遠くにみえる山肌の露頭を示しつつ,このあたりまでくると地層が北へ傾斜することを理解してもらい,今日のルートが背斜軸を横断するものであったことを説明した.

 最後の露頭は小二又にあるカガライトの採石場.

 移動してきた学生たちとともに採石場が一望できるところに向かった.

 バス停近くの畑から採石場を一望することができる.これまでにみてきたさまざまな地層がこの大露頭で実際に積み重なっていることを解説する.

 この日の最後の実習として,バス停近くの粗粒凝灰岩を学生たちに観察してもらった.
 

 白色で淘汰不良の軽石が多量に含まれる.

 人数分のアイスクリームを途中のコンビニで買って角間キャンパスへ.実験室にて今日のまとめをやってもらい午後4時に実験終了.

2015年5月29日:土質力学実習(1) ※カンボジア出張中

 共同担当者の高原さんによる土質力学実習の1回目.角間キャンパスをめぐりながらの地盤の変状観察など.


2015年6月5日:土質力学実習(2) ※カンボジア出張中

 共同担当者の高原さんによる土質力学実習の2回目.学生実験室でのチキソトロピーや地盤の液状化の実験など.


  • Camera: Pentax WG-3 GPS and Ricoh Theta m-15
  • Lens: SMC Pentax Zoom 4.5-18mm f.2.0-4.9