地学実験の記録
2015年度後期(その3:11月20日〜12月18日)

2015年11月20日:岩石学実習1(角間キャンパス北地区)

 角間キャンパス北地区での簡易測量実習を予定していたが,午前中は小雨がときおり降ってくるあいにくの天候だった.そのため室内と野外とでの岩石の肉眼鑑定実習に切り替えた.学生実験が始まるまでに室内実習用の岩石試料を用意した.安山岩,カコウ岩,砂岩,泥岩,大理石,そして蛇紋岩と片麻岩.


 午後1時に今日の学生実験を開始した.岩石の分類や成因についておおまかに説明し,それからルーペを使っての岩石の肉眼鑑定とスケッチの作業にとりかかってもらった.

 4種類の岩石をルーペで観察し,その内部構造のスケッチをとってもらう.安山岩は黒い基質に白い斑晶が散在するのが特徴だ.

 カコウ岩の特徴は比較的つかみやすいが,泥岩と玄武岩の区別などは学生にはむずかしいようだった.

 室内での用意された岩石試料の観察後は角間キャンパス北地区で実際の岩石をさがしだし観察する実習にした.実験室の窓から枯山水のあたりを歩く学生たちの姿がみえた.

 その枯山水では安山岩をみつけた学生たちがスケッチをとっていた.

 枯山水の流れにそって学生たちがちらばっている.

 北地区は紅葉がいまさかりだった.紅葉の赤い色が青空に映える.午前中の小雨がうそのように晴れ上がってくれた.

 枯山水では安山岩や砂岩をふつうに見つけることができる.やや風化した岩石だと,斑晶の小さい安山岩と細粒砂岩との区別が学生たちには困難だと感じた.

 3人のTAたちはとりあえず学生たちの近くで待機していた.この実習では活躍の場はあまりなさそうだった.

 中央図書館近くには細粒のカコウ岩でできたモニュメントがある.

 総合教育棟近くには流紋岩でできたモニュメントもある.

 閃緑岩でできたモニュメントを観察する学生たち.最初は砂岩とまちがえていたようだった.

 総合教育棟近くの枯山水にも学生たちの姿があった.

 この池状の部分の中央にはきれいな砂岩がおいてある.見る場所によっては礫岩でもある.

 枯山水では珍しい結晶質石灰岩.

 午後4時すぎに全員が作業を終了した.

2015年11月27日:土質力学実習1(角間キャンパス北地区) ※カンボジア出張中

 環境デザイン学系の高原さんの担当による土質力学実習の一回目. 天候に恵まれなかったため室内での授業や実習になったようだ.


2015年12月4日:土質力学実習2(角間キャンパス北地区) ※カンボジア出張中

 高原さんによる実習の2回目.やはり天候に恵まれなかったらしい.そのため,実験室内での地盤の液状化やダイラタンシーの実験など.


2015年12月11日:古生物学実習(地学学生実験室)

 実験室内にて,金沢市大桑町での野外実習で採集した貝化石のクリーニングと鑑定の実習を行った.1ヶ月以上も前の試料とあって貝化石はすっかり乾燥し作業にはうってつけの状態だった.まず実物投影機を使って作業の手順を学生たちに説明した.


 すぐにクリーニングの作業にとりかかってもらった.乾燥しきった貝化石から千枚通しを使って砂粒子をおおまかにかき取る作業から.

 ひきつづいてやわらかい歯ブラシで貝化石表面の砂をそっとはきおとす.

 だんだんと貝化石がきれいになっていく.

 細かい作業のときには爪楊枝で砂粒子を削りおとす.

 大きな砂岩のかたまりから貝化石を掘り出している学生もいた.

 貝化石がだんだんと姿をあらわしていく.

 貝化石の密集層からキリガイダマシを取り出した学生もいた.折れやすいこの化石がきれいに姿をあらわすのは珍しい.

 クリーニングを終えた貝化石は図鑑を使って学名を調べ,そのうえでスケッチをとっていく.

 学生たち全員が作業を終えたところで実験終了.

 

2015年12月18日:地形図学実習(地学学生実験室)

 角間キャンパスにとうとう雪が積もった.例年よりずいぶんおそい積雪だ.これで今後の実験予定はすべて室内実習に決まった.


 今回の地学実験は地形図学実習.地形図から等高線を読み取り立体として理解するための実習だ.練習問題に描かれた等高線にもとづいて立体を復元する作業を学生たちに課した.

 等高線とはどういうものかをホワイトボードで説明し,その後,学生たちに作業にとりかかってもらった.

 TAの山本君が模範解答を急いで作ってくれる.

 学生たちは立体的な図形にはふなれなようだった.しばらくの時間は無言で作業に集中していた.

 そのうちにおしゃべりが始まってしまったが,それでもこの作業にだんだんなれてきたようだった.

 高さを正確に描きながら立体的な図形を復元している学生もいた.時間はかかるがこれが正攻法だし,図形を高い精度で仕上げることができる.

 実験の後半では,得たばかりの等高線の知識をふまえ,前々回の実習でとりまとめた金沢市の地質図を作る作業にとりくんでもらった.水平分布と高さの情報のみから大桑層の分布を推定する作業だ.地層の走向も傾斜も不明なままでの作業だが,おおよその分布はこれで描けるはずだ.

 学生たちは四苦八苦しながらも等高線を読み取り,大桑層の分布をそれらしく推定していた.午後4時に実験終了.

  • Camera: Pentax WG-3 GPS, Casio Exlim EX-F1 and Pentax Optio W30
  • Lens: SMC Pentax Zoom 4.5-18mm f.2.0-4.9, Casio Exlim Optical Lens 7.3-87.6mm f. 2.7-4.6 and SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.3.3-5.6