地学実験の記録
2019年度後期前半(その2:10月18日〜11月8日)

2019年10月18日:野外調査実習2(金沢市大桑町)

 午後の後半から雨という予報だったが,大学のバスの予約がとれていたので,予定どおりの野外実習を行うことにした.学生実験室での化石の採集方法などの説明ののちに, 大学の大型バスに乗り込んで大桑町のじっ中予定地へ移動した.


 予報に反してキャンパスを出るときには雨がすでに降りはじめていた.

 山側環状道路から涌波の交差点をとおって大桑町の簡易野球場のグラウンドに到着.学生たちにはここで現在地をまず確認してもらった.

 犀川の水量は台風19号の影響がまだ残っているのかかなり多かった.さいわいなことに雨はあがってくれた.


 露頭を前にしての化石の採集方法などの説明ののちに学生たちには実際の採集にとりかかってもらった.

 犀川の水位が高いせいで露頭の範囲はかぎられているが,その範囲いっぱいに広がって学生たちは作業をはじめた.

 台風のときの増水とその前後の雨のおかげか露頭の表面はきれいに洗われていた.

 下流側には化石床が半分くらい離水してみえてた.

 洗い出された白い貝化石が層理面に沿ってならぶ.

 大桑層の細粒砂岩から貝化石を掘り出す.おおきな化石がみつけた学生はさすがにうれしそうだった.

 教材用の写真撮影のためここでドローンをあげた.化石採集をする学生たちの場所がよくわかる.

 この部分だけ犀川の流路がせばまっている.

 上空からみた犀川中流の化石採集地.

 ドローンをあげているときに大粒の雨がおちはじめた.回復が見込めないので野外実習を打ち切ることにした.

 採集した貝化石などを急いでしまいこんで河原をあとにする.

 駐車場で待っていてくれたバスに乗り込んで角間キャンパスへひきかえした.

 15分ほどで角間キャンパスに到着.総合教育2号館の学生実験室に戻り,採集した化石を乾燥させて今日の学生実験が終わった.このつづきは次回に持ち越しにした.

 台風19号襲来前の犀川中流(10月6日)

 台風19号襲来直後に犀川中流(10月13日)

 今日の犀川中流(10月18日)


2019年11月1日:野外調査実習3(金沢市大桑町)

  いまにも雨がぱらついてきそうな天気だったが予定どおりに大学のバスを利用しての野外調査実習にでかけた.学生実験室での実習内容の説明と注意事項を学生に伝えたうえで総合教育1号館前で大学のバスに乗車した.紅葉が進んだ樹木をながめながら角間キャンパスから実習地へ移動した.


 山側環状道路をとおり小立野の台地にあがり,それから細い道を犀川方面へバスは下っていく.

 おんまかいがら橋のたもとでバスを降りた.橋から見下ろす犀川の水位はいつになく低かった.実習にはうってつけの条件だ.

 学生たちに現在地をまず確認してもらい,それから橋の上流側へ全員で歩いた.


 犀川の河床に降りる.橋のうえからみたとおりの水位の低さだった.広い範囲にわたって露頭が離水していた.

 ここで20分間の自由観察時間を学生たちにあたえた.

 ここに露出するのは中新統の犀川層だ.凝灰質砂岩から構成され,白くて比較的おおきな軽石や炭化した植物化石が含まれる.

 暖水性の貝化石もふつうにみつかる.

 学生たちは思い思いの場所で地層をたたきながら観察していた.


 自由観察時間のあとでこの地層の解説をおこなう.地層を構成するものや,地層に含まれるものから過去の自然環境を復元する手法についてもここで説明しておいた.

 おおきく離水した犀川の河原をあるいて下流方向へ移動した.

 川に段差があるあたりには獲物をねらうアオサギがいた.

 橋から20mほど上流の河床で2回目の自由観察時間にした.ここに分布するのは更新統大桑層の下部になる.

 最初にみた犀川層との岩相のちがいにとくに留意してもらう.


 ここで学生たちをいったん集め,整合と不整合について説明したのちに,犀川層と大桑層との不整合をさがしてもらった.

 足下の地層をハンマーでたたきながら学生たちは上流側へ移動していった.

 段差をこえて向こう側に行ったグループもあれば下流側にのこったままのグループもいる.

 学生たち全員がそれぞれに不整合の位置を決めたところでただしい位置を紹介し,そのうえで不整合と認定する証拠について説明した.ここでは基底礫岩もみることができる.

 かいがら橋の上流側から下流側へ移動した.


 下流側で河原へおりた.急な雨のため中止となった前回の化石採集のつづきを同じ場所でやってもらうことにした.

 2回目とあって学世たちはなれた手つきで火星採集を開始した.

 それぞれに決めた場所でハンマーをふりつづける.

 低水位のおかげで対岸にはポットホールや層理面などがよくみえてた.


 学生たちは化石採集の作業をつづけている.

 ほどよい大きさのホタテガイの化石がみつかる.

 キリガイダマシはもろくて採集がむずかしい.すぐに破片になってしまっていた.

 化石採集の作業を終え,とれた化石をきちんとしまいこんで現地をあとにした.

 駐車場で待っていてくれた大学バスに乗り込んで角間キャンパスへ.


 犀川簡易野球場の樹木の紅葉にはまだ時間がかかりそうだった.山側環状道路をとおり角間キャンパスへひきかえす.

 

 午後4時前に角間キャンパスに到着.学生実験室にもどって貝化石の乾燥作業を学生たちに指示しておく.これで今日の予定終了.

2019年11月8日:野外調査実習4(金沢市大桑町)

 東アジア・東南アジア地球科学計画調整委員会の会議でタイのチェンマイに出張中だったため,GS科目地学の田中源吾君が犀川での砂金採集実習をやってくれた.


  • Camera: Pentax Optio W60, Ricoh WG-4 GPS, Casio Exilim EX-F1 and DJI Spark
  • Lens: SMC Pentax 5.0-25.0mm f.3.5-5.5 and SMC Pentax 4.5-18mm f.2.0-4.9