地学実験の記録
2021年度第2クォーター(その2:6月25日〜7月2日)

2021年6月25日:野外調査実習2(金沢市大桑町)

 台風5号の影響なのか昼前あたりから強い雨が降りはじめた.学生実験が始まる時間になってもやむ気配はなかった.野外実習を中止にすることも考えたが,大学バスの予約がとれていたため,実習地の事前見学だけでもと考え予定どおりに大桑町の犀川へ出かけることにした.豪雨の中をバスに乗り込んで角間を出発した.


 山側環状道路にでると雨がやや小降りになった.

 実習地近くの大桑簡易野球場に近づくころには晴天になっていた.このあたりの道路が乾いているのをみると,豪雨だったのはどうやら角間キャンパスあたりだけのようだ.

 現在地を学生たちにはまず確認してもらい,それから犀川河原の化石採集の場所へ移動した.

 犀川の流れはおだやかで水量も少なめだった.実習には好適な条件になる.

 貝化石の採集方法や大桑層について現地で簡単に説明し,それから上流側と下流側と二わかれて化石採集をはじめてもらった.

 おおきなホタテガイの化石がすぐにみつかっていた.

 ふたりのTAはそれぞれのグループの近くに立って安全な実習に留意してくれる.このころになると,熱中症に注意してもらうような好天になっていた.

 運不運もあるようだったが学生たちはそれぞれに化石をみつけて採集していた.

 カガミガイの中にホタテガイがはまり込んだふしぎな化石もあった.

 犀川の流れはかわらずおだやか.

 ここでドローンをあげておさらい用の写真を撮っておいた.

 下流側の上空約50mからみた実習地.ずっと上流には大桑貝殻橋がみえる.

 真上からみた実習地.対岸でのポットホールの発達がよくわかる.

 犀川の中流から上流にかけて発達する河岸段丘.

 そのあいだも学生たちは化石採集をつづけていた.

 午後3時半に現地での採集実習を終えた.掘り出した化石をまとめて駐車場で待っている大学のバスへ移動する.

 山側環状道路をとおって角間キャンパスへ.いい天気はずっとつづいていた.

 午後4時前に角間キャンパスに到着.

 学生実験室で採集した化石の乾燥処理を行ってのちに実験終了.

2021年7月2日:野外調査実習3(金沢市大桑町)

 午後から雨との予報だったが朝からの晴天が昼過ぎになってもずっとつづいていた.予定どおりに大桑町を流れる犀川へ地質調査実習に出かけた.学生実験室での説明ののちに学生たちともども大学のバスに乗り込んで実習地へ移動した.


 梅雨の北陸とは思えない青空が広がっていた.

 15分ほどで大桑町の実習地に到着.現在地を学生たちに確認してもらってから河床の露頭へ移動した.前回の実習地にほど近いところで,すぐ近くに大桑貝殻橋があるため確認はすぐに終わったようだった.

 犀川の水位はこれまでにみたこともないほどに低かった.大桑貝殻橋の上流側の河床はほぼすべてが離水していた.いつもならば水が流れる細い水路にも水がなかった.

 最初の露頭に到着後まず観察するときの留意点を伝え,それから自由観察時間とした.

 学生たちは河床いっぱいに広がって観察をはじめた.ここに分布するのは中期中新統の犀川層.凝灰質の細粒砂岩から構成される.

 学生たちが観察しているあいだに説明用の写真を撮っておく.白色軽石と炭化食物の破片.

 現地性の貝化石と生痕が発達する木片化石.

 やや離れたところで観察する学生たちにはTAのふたりがついていてくれた.

 あまりの低水位のため河道は左岸側のここだけになっていた.ちょっとした渓谷のようだ.

 せまくなった河道を水が流れている.はるかむこうに観察をつづける学生たちの姿がみえる.

 学生たちにいったん集合してもらい,この露頭で観察される地層や含有物,そこから推定される古環境などについて説明し,その後に全員で下流側へ移動した.

 大桑貝殻橋のすぐ近くとなる下流側には大桑層下部の砂質泥岩が露出する.最初の露頭でみた犀川層とは約900万年の時代差がある.この露頭で両者の違いを学生たちに確認してもらい,それから不整合をみつける実習にはいった.

 学生たちは露頭を観察しながら上流側へと引き返していく.

 雨が降ってくる気配はまったくない.むしろ熱中症が気がかりになるほどの好天だった.

 上流側へ移動する学生たちは犀川の段差のあたりにさしかかっていた.

 ここでドローンをあげておさらい用の画像を撮っておいた.上空からみると露頭の雰囲気の違いがよくわかる.

 犀川の段差をはさんで上流側と下流側との岩相があきらかに異なっている.

 高度を少しさげてみたときの両者の違い.

 不整合のあたりにだんだんと集まってくる学生たち.

 不整合の説明と大桑層の補足説明ののちに大学のバスへ引き返した.

 大学のバスに乗り込んで角間キャンパスへ.いい天気はずっとつづいていた.

 20分ほどで角間キャンパスに到着.下車後に実験室へ.

 次回の実習の注意点などを説明し実験終了.

  • Camera: Pentax WG-2 Red, Ricoh WG-6 Orange and DJI Spark
  • Lens: SMC Pentax, 5-25mm f.3.5-5.5 and Ricoh Lens 5-25mm f.3.5-5.5