地学実験の記録
2022年度第2クォーター(その3:7月8日〜7月22日)

2022年7月8日:野外調査実習4(金沢市大桑町)

 今回も大桑町を流れる犀川中流の河床での野外調査実習だった.学生実験室での説明ののちに大学のマイクロバスに乗り込んで実習地へ向かった.県道の緑がすっかり濃くなっていた.


 山側環状道路をとおり涌波の台地から犀川へと小径をバスはくだっていく.大桑貝殻橋のたもとでバスを降りて橋よりも上流側となる河床へ歩いた.

 河床へ降りてみたらこれまでに見たこともないほどの水位の低さだった.河床が広い範囲にわたって離水している.

 水のない河床にはふしぎな浸食地形がよく目立つ.そんな河床を学生たちと上流側へ歩いた.

 もっとも上流側となるところが今日の最初の観察地になる.貝殻橋から120メートルほどのところだ.ここで学生たちに20分間の自由観察時間を与えた.

 学生たちは離水した河床いっぱいにひろがって観察を始めた.このあたりに分布するのは中新統犀川層.貝化石があるのは容易に見つけていたようだ.

 水位が低いおかげで思わぬところに石灰質ノジュールがあるのがわかる.

 単価植物遺骸も大きなものがあちこちでみつかる.

 自由観察時間の終了後に学生たちを集めてここで観察される地層について説明し,それから下流側へ移動した.

 ここまでくると下部更新統大桑層が分布する.下部に区分される泥質砂岩や砂質泥岩からなる地層だ.ここで犀川層と大桑層との時代の違いを学生たちに説明し,そのうえで両者の不整合の場所を探してもらうことにした.

 学生たちは足下をみながら上流側へ移動していった.上空のドローンからみると学生たちの動きがよくわかる.

 水位がひくいおかげで奇妙な形状の浸食地形もよくわかる.

 真上からみた不整合のあるあたり.

 浸食地形のちがいで両者の分布地は容易に区分される.

 下流側の段丘地形の写真も撮っておいた.

 上流側の段丘地形.このあたりの犀川には河岸段丘がよく発達する.

 ドローンを回収し,それから学生たちに集まってもらった.

 不整合のある場所へ学生たちを案内し,そのうえで岩相の違いや不整合認定の方法について解説した.

 このあたりの河床にみられる火山灰層についても説明しておく.

 その後しばらくは細礫がめだつ層準でのサメの歯の化石探し.

 今回も誰も発見できなかったようだ.

 駐車場で待っていてくれた大学のバスへひきかえす.

 バスにのって涌波の台地へ.

 そして山側環状道路をとおって角間キャンパスへ.

 午後4時に地学実験資料室に到着.解散.

2022年7月22日:古生物学実習1(地学学生実験室)

 前々回の野外調査実習で採集した貝化石の整形と鑑定の実習を行った.先週のこの授業が曜日変更のためなかったため3週間前の採集になる.貝化石のまわりの砂岩はすっかり乾ききっていた.


 午後1時に実習開始.貝化石の成型方法について学生たちに説明し,それから作業にかかってもらった.まず千枚通しで化石についた砂岩の砂をおおざっぱにとりのぞく.

 せまくなった地学実験実験室でのこの実習ははじめてだった.以前と比べたらせまくるしいが,作業への支障はそれほどないようだった.冷房がきくのはむしろ好ましいことだろう.

 貝化石にくっついた砂をかき落とすには先がやわらかい爪楊枝も併用する.

 表面の砂はいまどき珍しくなった豚毛の歯ブラシでこすりおとす.

 きれいに整形された貝化石.こんなにちいさいものもあった.

 学生用の古生物学図鑑をたよりに種類を鑑定する.

 そしてスケッチ.

 

  • Camera: Ricoh WG-7 Red, Pentax Optio WG-2 Vermillion Red and DJI Mavic Mini
  • Lens: Ricoh Lens 5-25mm, f.3.5-5.5 and Pentax Zoom Lens 5.0-25.0mm, f.3.5-5.5